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Touch (Hanson Chien)

12日の土曜と13日の日曜は、大阪と愛知県春日井市に行っていました。私が住む山口県下関市からですと、往復1,400kmです。関東の方は、東京から青森くらいの距離と思っていただければ、参考になるでしょう。

昨日の夜10時過ぎに帰宅しましたが、お陰で、昨日はさすがに疲れて、すぐ寝てしまいました。連休前半は結構忙しかったのですが、連休残り三日はのんびり過ごす予定です。今日は妻と、「名探偵コナン」を鑑賞したのです。

さて、DVDレビューの7回目。ハンソン・チェンの「Touch」です。発売された時には大きな話題になりましたね。タイトルにもなっている「Touch」が目玉作品ですが、他の作品はどうでしょうか。それでは行ってみましょう。なかなかシックなパッケージです。

Touch (Hanson Chien)

1. Touch
現象/演者の掌に巻いた輪ゴムが、観客の掌に一瞬で飛び移る。

DVDタイトルにもなっている作品であり、このDVDの看板作品です。本当に観客の掌に一瞬で移るので、大変強力なトリックです。DVDに思わず変な声を出してしまっている男性客の様子が入っていますが、人によっては本当にこんな反応があるでしょう。セットアップもさほど難しくありません(と言いますか、セットアップはほとんどジョー・リンドフライシュの「Extreme rubber band magic」に収められている「Ultimate Jump」と同じです)。

ただ、輪ゴムの選定は意外と難しいと思います。小さいとセットアップが難しいですし、大きいと観客の手に移動した時いまいちインパクトを与えられません(観客の手が小さい場合もしかり)。その意味で、少し扱いづらいトリックであると言えますが、強力な事は間違いないですから、ここ一番で使いたいネタですね。

2. Escape
現象/演者の手に巻いた輪ゴムが、一瞬で外れる。

ハンドリングは「Touch」と同じですが、こちらは演者の掌から輪ゴムが抜けるだけですので、輪ゴムの大きさに神経質になる必要はありません。むしろ大きい方が絶対にやりやすいでしょう。

ただ、単に演者の手を抜けるだけなら、もっと楽なハンドリングがありますから、あえてこれを選択する意義はそれほどないかも知れません。私自身は、手首にかけて抜ける、もっと楽な手順のトリックを演じています。

3. Ghost slink
現象/両手の親指と人差し指にかけた2本の輪ゴムが、繋がったり外れたりする。

現象は確かに鮮やかです。繋がったり外れたりする時は、本人が言うように無駄な動きはほとんどなく、映像で見ると魔法に見えます。

が。セットアップの動作がちょっと怪しすぎるような気がします。それを自覚しているのか、演技の動画では、一般客に対する演技ではなく、カメラの前で一人で演技していますし、何よりいただけないのは、セットアップ部は画面の外でやってしまっています。これはちょっとフェアではないんじゃないでしょうか。正直私には、動画以外でこれを演じられる場面が、ちょっと思い浮かびません。

4. Ghost palm
現象/観客と演者の手に巻いた輪ゴムが、観客の手を一瞬で抜ける。

シンプルな原理ですが、ただ演者の手から輪ゴムが外れるより強い印象があるトリックだと思います。観客の手の中で増えるスポンジボールもそうですが、こういう「観客の感覚に訴える」トリックは、やはり強力ですね。セットアップもさほど難しくなく、「こうなったらダメだよ」という注意点も映像で見せてくれるので、習得は容易でしょう。それにしても輪ゴムトリックは、カードマジックと比べても現象説明が本当に簡単でいいですね(笑)。

5. Ghost finger
現象/演者の親指と人差し指にかけた輪ゴムが、演者の指を貫通したり、観客の指を貫通したりする。

字幕が「ゴースト指」になっていますが、ご愛敬か(笑)。これはセットアップも難しくなく、その意味では大変実用的なトリックだと思います。ちなみに全部で三段の現象となっています。第一段は輪ゴムの外にあった演者の指が中に入り、第二段は輪ゴムの中にあった演者の指が外に出て、第三段は輪ゴムの外にあった観客の指が輪ゴムの中に入ります。なお、第二段と同じ動作で「輪ゴムの中に通した観客の指が、輪ゴムの中に出てしまう」ようにする事も可能ですので、ご研究あれ。

ビジュアルでセットアップも易しいのですが、ただ貫通の際、音がぱちんと鳴ってしまうのがいかんともしがたいです。輪ゴムトリックは、「音」が錯覚を強めたりして、効果を増す場合もあるんですが、このトリックの場合は、ちょっとマイナスに働く気がするんですね。

なので、演じる環境を選ぶかも知れませんが、それさえ除けば実用的ないいトリックだと思いますよ。やはり、観客参加型トリックは、私も好きですから。

6. Crazy Hanson's handcuffs
現象/演者の両手の親指と人差し指にかけた2本の輪ゴムが、繋がったり外れたりする。

タイトルからわかるように、クレイジーマンズハンドカフスのバージョンですが、貫通する時に輪ゴムがぷるんと振るえるので、その意味での視覚的な説得力もあります。

……が、これもハンドリングと言いますかセッティングが怪しすぎて、なかなかこれを実演するのは難しいかも知れません。ハンソン・チェンが、セッティング時にやたら輪ゴムを長く引っ張っているのが気になりますが、そうせざるを得ないのでしょう。個人的には、ノーマルなクレイジーマンズハンドカフスの方が、ずっとクリーンで実用的だと思うのです。この作品は、やはり観客に輪ゴムを持ってもらって、それでも相手の目の前で綺麗に抜けるのが、一番強い衝撃を与えるポイントですからね。

セッティングの難しさに加えて、どんなに視覚的インパクトが強くても、単に演者の指の中で起こるだけでは、実用面ではいまいちと言わざるを得ません。

7. Crazy magician's handcuffs
現象/演者の親指と人差し指にかけた輪ゴムが、演者の指を貫通したり、観客の指を貫通したりする。

これもクレイジーマンズハンドカフスのバリエーションですが、本人も言っている通り、原案を知っているマジシャン向けです。一般の人に見せる場合には、原案で十分です。原案はあのクリーンさがいいのであって、どうにも動作がクリーンではない(なんだか不自然)なんですよね。まあ「Hanson's Handcuffs」に比べれば自然ですが……。

輪ゴムトリックは、クリーンさとビジュアルさを両立させるのは、なかなか難しいものなのかも知れません。

8. Infinity linking
現象/2本の輪ゴムが、繋がったり外れたりする。指輪など、リング状のものとも繋げる事ができる。

前からあるリンキングラバーバンドと、ハンドリングとしてはほぼ変わらない気がします(両側いっぺんにやるのではなく、片側でやっているだけのような……)。ハンドリングは過度に難しくなく、そこまで不自然でもなく、実践的な部類なので、十分使えるトリックでしょう。ただ、指輪などと繋げるのは、あまり実用的じゃないかも知れません。

個人的には、従来からの手順で十分なように感じます。古典手順って、やはり伊達に演じられ続けてないんですよね。

9. Missing linkage
現象/観客の手に2本の輪ゴムを握らせるが、いつの間にか演者の手の中に1本戻ってくる。観客の手を開かせてみると、輪ゴムは一本しかない。

コインやスポンジボールでやるような手順ですが、実際は、前段で2本の輪ゴムのリンク・アンリンク現象をやっています。それが伏線になっているという、輪ゴムである事を生かしたなかなか凝った手順です。

セットアップはやはりちょっと難しいというか、怪しいです。ただ、前段のトリックを伏線にして、後段のトリックの説得力を増すという考えは面白いですし、後段のトリックの動きはかなりフェアで怪しいところがないですから、上手く決まれば大きな驚きを与えられると思います。これやるなら、スポンジボールの方がいいような気がしなくもないのですが(汗)。

10. Flash band
現象/演者の指に巻いた輪ゴムを反対の手に抜き取るが、一瞬で戻ってくる。

これは初見では見事に引っ掛かってしまい、解説を見てあまりに単純なトリックだったので、(いい意味で)大笑いしてしまいました。こういうのに引っ掛かるとは、私もまだ捨てたものではないですね(笑)。原案はギャレット・トーマスらしいですが、ギャレット・トーマスらしいな、と。即席でできるいいトリックだと思います。

Routine 1 - Teleport
おまけとして、輪ゴムトリックだけをいくつか繋げてルーティーンにしたものを、演じて(ストリートパフォーマンス)解説しています。リンドフライシュその他のトリックも解説してくれているのでお得です。このTeleportは、名前の通り移動をテーマにした輪ゴムトリックを並べています。

Spaghetti up the nose、Flash band、Jumping band、Ultimate Jump、Touchの5作品です。Jumping bandは、初心者向けの本にも乗っている、人差し指と中指にかけた輪ゴムが、薬指と小指に移動する商品ですが、ハンソン・チェンは上手に演じて一級のトリックにしています。

Routine 2 - Liquid
もう1つは貫通現象がテーマです。Crazy man's handcuffs、Crazy Hanson's handcuffs、Infinity linkage、Snapped and restored rubber band、Remote Linkの5作品。本編で解説された10作品以外のトリックも、ちゃんと解説されていますから、合計15作の輪ゴムトリックが解説されている事になります。ボリュームもたっぷりです。


内容は以上です。字幕付きなんですが、日本語訳が少し変なので、それだけでも楽しめます(笑)。解説は言葉は一切使用していませんが、何度も繰り返し見せてくれますし、大事なところは非常にゆっくりやってくれるので、分かりやすいと思います。最初の方では、輪ゴムの選び方(国による輪ゴムの特徴まで)を話してくれています。参考になるかと言われると、そうでもない気もしますが。

収められているトリックの全てが実用的かと言われれば、実はあまり実用的ではないものもあるんですが、輪ゴムトリックって、クラシック以外はそんなものかも知れません。しかし、看板作品のTouchを知る事ができるだけでも、価値があると思います。また、最後の2つのルーティーン集は、一通りの現象が入っているので、お得感があります。

輪ゴムメインでマジックをできるかと言われると、それは難しいのですが、「なんか見せてよ」と言われた時、最も重宝する素材でもあります。輪ゴムトリックの幅を広げたい人は、持っておいてもいい1本だと思いますよ。 

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