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Decks, lies, and videotape (Brent Braun)

朝晩は大分冷えてきましたね。そろそろおでんが食べたくなる季節です。おでんって、別に夏に食べても美味しいと思うんですが、なぜか冬の代名詞みたいな料理ですよね。

私は以前香川県に住んでいた事があるんですが、香川のうどん屋では、ほとんど必ずと言っていいほどおでんが置いてあり、うどんと一緒におでんを食べるのが讃岐うどん流でした。他所の地域ではあまり見ませんから、香川独特なんでしょうね。

では今回のDVD紹介です。タイトルは映画のパロディですね。パッケージ写真も、その映画のパロディで、凝ってますね(検索で映画の画像を探してみてください)。

Decks, lies, and videotape

1. Ball thru glass
現象/ガラスケースの上にボールを乗せ、手で押すと、ボールがガラスを通り抜けて下に落ちる。

目を疑うような現象です。例えば通常のコインズスルーザテーブルと違い、使うのがガラステーブルですから、そのインパクトは強烈です。しかも、「ガラスである」事を利用した手順には、感心するばかりです。

ただし、特別な道具がなければできません。また、準備ももちろん必要ですから、演じる場面は選ぶでしょう。ブレント・ブラウンは、自分のマジックショップで演じているようですが、そのように演じる場所さえあるのなら、強力なアイキャッチャーとなるでしょう。

2. Kickback transpo
現象/1枚のカードを選ばせる。演者はデックの中から1枚のカードを示すが、それは選ばれたカードではない。そのカードをテーブルに置き、デックを表向きにリボンスプレッドすると、裏向きのカードがある。観客がそのカードを確認すると、それはさっきテーブルに置いたはずのカードであり、テーブルに置いていたカードが選ばれたカードになっている。更に、その2枚のカードがもう一度入れ替わる。

大流行した「キックバック」を、レギュラーカードで行うものです。現象を文章で書くと少しややこしいですが、実際はあっという間ですし、大変分かりやすいトリックです。第二段は、ちょっと蛇足っぽい感じがしなくもないのですが、場面によっては効果的かも知れません。

原案はギャフカードが必要ですが(ギャフを必要としない手順もあります)、こちらは完全にレギュラーとは言えないものの、ギャフを使う原案よりは準備もしやすいでしょう。また、肝となるテクニックもよく考えられています。準備は必要ですが、それに見合う効果の大きさもありますから、ここぞという時に大事に使いたいトリックです。

3. Simply triumphant
現象/選ばれたカードを戻させ、デックを表裏ばらばらに混ぜるが、一瞬で元に戻り、選ばれたカードのフォアオブアカインドだけが表向きに現れる。

トライアンフのバリエーションです。トライアンフシャッフルなどのフォールスシャッフルではなく、本当にリフルシャッフルで混ぜてしまいますが、その際に説得力を増す一工夫が入っているため、大変クリーンに見えます。混ぜた後も、表裏が混ざった事もある程度示せるため、知らなければ、マジシャンでも引っ掛かるでしょう。

何より、最後は選ばれたカードのフォアオブアカインドが揃いますが、それが単なる現象追加ではなく、手順の中で説得力を増す工夫に活用されているのが、本当に賢いです。私がこれを演じるかと言うと、演じない気もするのですが(トライアンフは原案が一番好きなので)、トライアンフが好きな人ならば、覚えてみたくなる手順ではないでしょうか。

4. Bluff swivel cut
現象/1枚のカードをトップに置き、スイブルカットするが、選ばれたカードは2枚目にコントロールされる。

技法の解説です。ブラフパスと同じような原理で、スイブルカットの動作を使い、2枚目にコントロールするものです。スイブルカット自体、一般の人は全く見慣れない動作ではありますが、スイブルカットを普段から使うのであれば、かなり強力な錯覚を生む技法だと思います。2種類の方法を解説してくれています。動作の後に入れるドリブルが、錯覚を強めていて効果的ですね。

5. Tabled bluff pass
現象/選ばれたカードを、テーブル上にカードをドリブルしていき、好きな場所に戻させるが、選ばれたカードは2枚目にコントロールされている。

これも技法の解説。ブラフパスをテーブルで行うものです。意外と使う場面は選ぶかも知れませんが、覚えておくと何かの折に重宝しそうです。これも、錯覚を強める一工夫が効いています。

6. Fan control
現象/ファンに広げたカードに1枚のカードを戻させるが、ボトムにコントロールされている。

これも錯覚を利用したコントロール技法です。シンプルな方法ですが、見事なイリュージョンを生んでいます。ただ、リバースファンが意外と難しいかも知れませんが、そこさえクリアできれば、ボトムコントロールとしてとても有用だと思います。

7. Tilt throw off
現象/ティルトに説得力を持たせるためのちょっとしたアイデア。カードが確かに真ん中に押し込まれたように見えるが、トップから2枚目にコントロールされている。

これも技法解説。やはり錯覚を利用した賢い方法ですが、ティルトを知っているマジシャン向けの技法かも知れません。愛好家の集まりなどで「一杯食わせる」には、いい方法でしょう。私は、マジシャンの前でマジックをやる事などないので、普通のティルトで十分のようにも感じますが。

8. Sympathetically triumphant
現象/デックを表裏ばらばらに混ぜるが、一瞬で元に戻る。その後1枚のカードを選ばせるが、そのカードと同じ数字のカードが、デックの中から表向きに現れる。

トライアンフのバリエーションですが、カードを選んでもらう前に表裏が元に戻ってしまうという、妙なトリックです。トライアンフというより、二段目はビル・サイモンの「インスタントリバース」っぽいですね。方法としては、先に解説された「Simply triumphant」とほぼ同じですが、元のトライアンフと比べると、ちょっと脈絡のないトリックという感は否めません。

何せ通常のトライアンフと違い、カードを選んでもらう前に、勝手に(?)表裏を混ぜてそれが元に戻りますので、演じるとしたら、演出はきちんとしないと意味不明なトリックに終わる危険性もあります。トライアンフを見慣れた人に、「あ、カードを選んでもらってませんでしたね」なんて言って演じてみれば、面白いかも知れません。テーブルを必要としないのは便利ですね。

9. Torched & restored
現象/4つに破ったカードが、一瞬で元に戻る。

準備は必要ですが、目の覚めるような現象のトリックです。ちょっとした準備さえしておけば、演じるのは難しくありません。この準備がなくても、上手にやれば演じられるかも知れませんが、演じやすさが全然違うでしょうし、どのみち「もう一つの準備」は必要です。このような本格的なマジックを演じる場というのは限られるでしょうから、素直に準備しておいた方が絶対にいいと思います。

なお小道具としてライターを使っていて、それがラストの復活をより劇的にしていますが、ライターがなければ、「魔法の粉を使います」とやっても、十分効果はあるでしょう。演じやすく実用的なトーンアンドレストアカードの、良い手順だと思います。


と、内容は以上です。手順はわずか5つしかないのですが、いずれもよく考えられており、見応えは十分です(レパートリーに入れるか、と言われると、それは別問題なのですが)。技法解説も、大いに参考になるでしょう。

なお、普通のDVDですと、演技→解説という流れなのですが、これは演技だけを一通り収めたチャプターが最初にあって、後は解説だけが続きます。演技だけを楽しみたい場合にはいい作りですが、演技のチャプターは全部一続きなので、特定の演技を確認したい場合には、若干不便でもあります。

「即戦力の手順を手に入れたい」という人よりも、「刺激を受けたい」「知識を増やしたい」という人に向いたDVDかも知れませんが、お勧めの一本です。 

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