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Killer card tricks (Kris Nevling)

引越し準備で色々忙しく、なかなかマジックにかける時間がありません。今日は用事があって外出したんですが、どうも体調が良くありません。風邪の前触れじゃないと良いんですけど。

では今日のDVD紹介。クリス・ネブリングが効果的なセルフワーキングトリックを紹介してくれているDVDですが、私が購入した時は、価格が驚きの千円でした。ほとんどの演技で観客がおらず、ネブリングが一人で演じていますが、それは値段を考えれば仕方ないでしょう。

ただ、古典作品が多いのですが、タイトルが元とかけ離れているのが、ちょっといただけません。クレジットもないですし、この辺りはきちんとして欲しいですね。

それでは行きましょう。

Killer card tricks (Kris Nevling)

1. Impossible
現象/観客がカードを裏向きのまま直感で赤と黒に分けるが、表にするとそれが綺麗に赤黒に分かれている。

現象としては「Out of this world」ですね。ガイドカードの交換がない方法です。このやり方は、確かポール・ハリスの「Galaxy」ですね。セットは必要ですが、最初にリフルシャッフルさせられるのは面白いです。

ただ、一般の方でちゃんとリフルシャッフルができる人はほぼいないでしょうから、ロゼッタシャッフルを使うのが良いでしょう。あるいは演者がリフルシャッフルをして、観客に押し込ませるか。何れにせよ、最後の処理に抵抗がなければ、インパクトのある良い手順だと思います。

2. Impossible version 2
現象/観客がカードを裏向きのまま直感で赤と黒に分けるが、表にするとそれが綺麗に赤黒に分かれている。

これは即興で演じられる「Out of this world」です。途中でガイドカードを入れ替えます。「奇術入門シリーズカードマジック」に出ている、U.F.グラントの方法に近いですが、最後のスイッチの方法が違います。タイムミスディレクションも活用している、なかなか巧妙な方法です。また、途中でさりげなく手元のデックを広げて、ばらばらである事を示しているのが効果的です。

3. Royal triumph
現象/一枚のカードを選ばせる。そのままデックを表裏ばらばらに混ぜる。おまじないをかけると、一つのマークのみ、数字順に表向きになっているが、抜けている数字がある。それが選ばれたカードである。

ジョン・バノンの「Play it straight」です。どの辺りがRoyalなのかはよく分かりません(笑)。この演技は、ちゃんと普通の観客に対して演じている様子が収められています。そちらの方は、カードの選ばせ方がちょっと煩雑です。何より、女性の太腿の上をテーブル代わりにしているのが凄い(笑)。

最初のフォースは、自分の得意な方法でやっても良いと思います。もちろんセットは必要ですが、インパクトのある良いトリックです。

4. Think force
現象/最初に予言を紙に書いておく。カードを一枚ずつ配り、好きなところでストップを掛けさせるが、ストップがかかったところのカードは、正に予言されていたカードである。

一種のメンタルフォース(サイコロジカルフォース)です。心理トリックですから、相手の呼吸を読む必要がありますが、これを確実に成功させるのは、結構大変だと思います。一応、失敗した時の対処も解説していますが、私はこれを実際に演じる度胸は、ちょっとありません。

5. Any card thought of
現象/相手に1〜52の好きな数を決めてもらう。カードを一枚ずつ配り、相手が決めた枚数目のカードを覚えてもらう。その後デックを混ぜ、相手に数を教えてもらう。その枚数目を見るが、混ぜているので当然覚えたカードではない。が、おまじないをかけると、選んだカードがトップから現れる。

単純な原理を使ったロケーショントリックですが、最初見た時は引っかかってしまいました。複雑な技法や原理より、こういう単純な原理を上手く使える人が、名人なのかも知れません。

ネブリングは1〜52の数字を選ばせていますが、デックを全部配るというのは冗長になりますし、10〜30くらいで指定してもいいような気がします。

そしてフォールスカットは、別に解説されているものでなくても、得意なものを使えば良いと思いますが、こういうトリックの時に、過剰にテクニカルな(フラリッシュ風の)フォールスカットは避けた方が良いというのは、言うまでもありません。

6. The convincer
現象/一枚のカードを覚えてもらい、デックに戻ししっかりシャッフルする。トップの辺りにも、ボトムの辺りにも選ばれたカードはないが、おまじないをかけると、トップから選ばれたカードが現れる。

これは大変巧妙なロケーショントリックです。これも原理は大変シンプルですが、使い方が上手いので、マジシャンでも引っかかってしまうかも知れません。ポインティンググリンプス、又はテイクジスグリンプスと、原理を上手く組み合わせて、非常に上手いトリックに仕上がっています。これは是非覚えておきたいトリックです。

7. The gambler
現象/ポーカーデモンストレーション。5人の相手にポーカーハンドを配るが、マジシャンにはロイヤルストレートフラッシュが来る。

現象が起こるまでがやたら長いポーカーデモンストレーションです。最初にデックを26枚ずつに分けた後、ボトムディールやセカンドディールの解説も入れていますが、これはやはり好き好きでしょうね。更にその後、5人分のポーカーハンドを配りますが、そこでは現象が起きないので、よほど上手く演じないと、見る方が退屈するかも知れません。

確かマイケル・アマーの「Card miracles」の一巻に似たようなトリックがあったと思いますが、そちらの方が演出面で数等優れていますので(一回目は、ギャンブラーのテクニックで4Aを配るという見せ方)、私が演じるならそちらですね。

8. Time machine
現象/カードを時計の形に並べる。更に中心部にカードを置き、これはミステリーカードだと説明する。好きな位置のカードを覚えてもらい、覚えた時刻の枚数だけトップからカードを取ってポケットに入れてもらう。カードを集め、カットしてから相手が取ったカードをトップに乗せてもらう。もう一度カードを時計の形+中心部に一枚に並べると、選んだ時刻の位置にミステリーカードがあり、覚えたカードが中心部から現れる。

手続きが長い上、現象がちょっと分かりにくい気がします。ロケーションの原理はなかなか面白いのですが、セルフワーキングトリックは、なるべく現象をシンプルに見せた方がいいように思うのは、私だけでしょうか。原理は面白いので、何かに転用できるといいのですが。

9. Open prediction
現象/予言のカードを1枚抜き出しておく。カードを1枚ずつ配っていき、相手がストップをかけたところで止める。一方のパイルから予言のカードの数の枚数だけ配る。3つのパイルができるが、3つのパイルのトップカードは全て予言のカードと同じ数である。

何の事はない、ジェニングスの「Prefiguration」です。一般的なオープンプレディクションと思って演技を見ていたので、背負い投げを食らいました(笑)。これも、観客に対する演技が収められています。女性の太腿をテーブルがわりにしているのも同じです(笑)。

普通のオープンプレディクションを期待して見ると残念ですが、プレフィギュレーションが優れたトリックである事に違いはありません。

10. Match maker
現象/デックをカットし、二つのパイルに分ける。一つのパイルを裏向きで配り、好きなところでストップさせ、ストップがかかったカードを表向きにしておく。その状態で、二つのパイルのトップから同時にカードを配っていくと、表向きのカードの箇所だけでメイトが現れる。更におまじないをかけ、二つのパイルのトップから一枚ずつ表向きに配っていくと、全てがメイトカードである。

ポール・カリーの「Power of thoughts」のようなトリックです。リバースサイクリックスタックを使うので、セットは大変ですが、それに見合う効果のあるトリックだと思います。ネブリングは、この原理を上手く使って、最初に軽いカード当て(メイトカード当て?)みたいなのを入れていますが、これは蛇足のような気もします。上にも書いたように、セルフワーキングは特に、現象を盛り込み過ぎない方がいいように思うのです。

リバースサイクリックを作るのは大変ですが、現象のインパクトは非常に強いので、セットしたデックを準備しておく価値はあると思います。

11. Any two cards
現象/デックを表向きにリボンスプレッドし、二枚のカードを覚えてその二枚の位置を入れ替えてもらう。これは数理的な原理のトリックだと言い、八つの箇所にカードを順番に配って行くが、途中からばらばらの順番になり、最後にはカードをぐちゃぐちゃに混ぜてしまうが、それでも選ばれた二枚のカードを当てる。

ピット・ハートリングの「Chaos」です。ちょっと手続きが長いですが、非常に不可能性が高いカード当てですし、見せ方を工夫すれば面白そうです。こういう「面白いんだけど、ちょっと長いトリック」というのは、演者のキャラクターが非常に問われますね。

ただ、原理には非常に感心するのですが、セットアップがかなり大変です。いくら不可能性が高いとは言っても、たかがカード当てでデック全部セットしたくないというのが正直なところです。マジシャン相手に見せるには、とても効果が高いトリックだと思いますし、この原理は勉強になりますが、レパートリーに入れるのは大変そうです。

12. Unknown
現象/あらかじめ2枚のカードを抜き出しておく。デックから1枚ずつカードを配っていき、好きなところに1枚目をカードを表向きに置く。それをもう一度繰り返す。表向きのカードとその隣のカードを抜き出すと、どちらもメイトカードである。

カール・ファルヴスの「Gemini Twins」です。以前記事でも書いた通り、即興で演じられるセルフワーキングトリックの最高傑作です。これも観客に対して演じる様子が収められています。今回は相手の太腿を使っていません(笑)。

13. Instant reversal
現象/相手に一枚のカードを選ばせ、それをデックの真ん中に戻してもらう。デックを背後に回し、再び前に持って来ると、相手のカードだけが表向きになっている。

入門事典にも載っている、ビル・サイモンのトリック……ではありません。シンプルでクイック。こういうトリックは重宝します。ごく簡単なセットは必要ですが、テクニックがある人ならば、セットなしでもできると思います。おまけに、終わった後にはセットの痕跡は残りません。覚えておきたい小品です。

14. Color change rootine
現象/赤裏のデックを使い、相手にカードを一枚選ばせるが、選んだカードの裏が青く変化し、残りのデックの色も全部青裏になる。が、おまじないをかけると、最初に選んだカードだけが赤裏に戻る。

おまけ的な手順で、ちょっとした技法を使ったカラーチェンジングデックの手順です。スピード感がある手順だとは思うのですが、最後に一枚だけ赤裏に戻してしまうのはどうなんでしょう。全部青裏にして終わった方が、気持ちが良いと思うのは、私だけでしょうか。

ヒンズーシャッフルフォースは、独特の方法を使っています。ネブリングの方法を使っても良いですし、ここは得意な方法に置き換えても良いでしょう。


以上14作品。他にも、簡単な技法もいくつか解説してくれています。解説されている技法は、「Oops force」「Cut deeper force」「Hindu shuffle force」「The Glide」「Double lift」「Houdini color change」(一般に「アードネスチェンジ」と呼ばれているチェンジ技法で、フーディーニ考案と言われています。こんなところはきちんとしているとは(笑))。

値段を考えれば驚くほどのボリュームです。タイトルがいい加減で、クレジットがないのはマイナス材料ですが(アマチュアはYoutubeなどでやりたい放題ですから、プロが率先してそういう事を大事にして欲しいと思います)、いくつかの手順は簡単な上巧妙で、お勧めできる一本です。

セルフワーキングの傑作に、綺麗に騙された時って、技法を使った作品とは違う感動がありますよね。技法を使ったトリックに偏る事なく、セルフワーキングの名作も、一通り抑えておきたいものです。 

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