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Easy to master card miracles vol.8 (Michael Ammar)

札幌は、この時期既に色付き始めている木の葉があり、もう秋という感じです。去年の今頃は、ゆうきともさんのレクチャーに参加してました。諸々の都合もあって、なかなかイベントには出ていけないのが残念ですが、機会があればまた行ってみたいと思っています。

そして、少しずつ動画を撮っています。マジックは、動画で見るものではないと思いますが、動画を撮るのは、これはこれで勉強になります(何せほんの些細な傷も、動画ではごまかしようがない)。Youtubeにはアップしませんが、Twitterには時々アップしますので、よろしければチェックしてください。アドバイスなどありましたら喜びます。

ではDVD紹介。アマーのカードミラクルズ、第8巻です。第7巻まではスクリプトマヌーヴァにより日本語字幕がつきましたが、第8巻と第9巻はとうとう日本語化されませんでした。アマーの金字塔ですから7巻で途切れるのは残念な気もしますが、7巻が売れなかったんでしょうかね……。

スクリプトマヌーヴァが日本語化したDVDは、元々の英語版が手に入りにくくなる傾向にあるようで、この第8巻も日本のショップではほとんど扱いがないようです。大人の事情があるのかも知れません。なんともな事態ですが、相変わらず見て楽しく、アマーの解説も丁寧で楽しめます。では行ってみましょう。

Easy to master card miracles vol.8 (Michael Ammar)

1. Comedy rising card
現象/1枚のカードを選ばせ、デックに戻す。そのカードがだんだん上にせり上がってくるのだが、どんどん上がって空中にまで浮遊する。実はカードが脇に挟んでいたウォンドにくっついている。

これは面白いカード当てです。最初、選ばれたカードが上がってくるところは鮮やかな動きなんですが、更に空中にまでどんどん上がって行き、その後ウォンドにカードがくっ付いているのを示した時点で、笑いが起こります(実は上がっているのではないのがミソです)。

方法は全くシンプルで、コントロールだけですが、デックの半分をファンに広げるところをミスディレクションにしてポジションを作っていたり、実はよく考えられた手順です。ウォンドと、あとはおなじみのとある道具だけで簡単にできます。クロースアップというよりサロン向けの手順だと思いますが、こういう手順を1つ持っていれば重宝しそうです。

2. Card on tie (Dan Korem)
現象/カードを1枚選ばせ、そのカードのコーナーを破って相手に渡す。コーナーを破ったカードをデックに戻し、よく混ぜる。デックに安全ピンを入れ相手に渡す。その状態でデックを演者に投げ付けてもらう。当然カードがばらばらに撒き散らされるが、何と演者の胸に、安全ピンで留められた1枚のカードがくっ付いており、それはコーナーが破られた、選ばれたカードである。

これは物凄いインパクトです。カードスルーウィンドウにも似た驚きがあると思います。その分準備は大変ですし、道具もあれこれ必要です(こんな現象が即興でできるはずもないのですが)。完全にサロン向けの手順ですが、こんな手順をトリに演じれば大喝采でしょうね。アマチュアが気軽に演じられるような手順ではないのですが、この方法を知れるだけでも勉強になるでしょう。

解説では、後半に白い糸を使って説明してくれるので、分かりやすいと思います。分かりやすかったら真似できるというものでもないのですが(笑)。

3. Caller I.D. (Eric Allen)
現象/演者の携帯電話を相手に渡しておく。1枚のカードを選ばせデックに戻してよく混ぜる。選ばれたカードを当てようとし、1枚のカードを示すが、それは選ばれたカードではない。その最中に携帯電話が鳴る。携帯電話の画面を見ると、選ばれたカードの名前が表示されている。更に、先ほど示したカードが選ばれたカードに変化している

三連続でカード当てですが、見せ方が全然違うので、同じカード当てでもかなり印象が違います。携帯電話(今ならスマートフォン)を使ったトリックは、今では色々出ていますから、それほど新味はないかも知れませんし、これを演じようとすると技術とは別の意味で結構大変かも知れませんが、アイディアは覚えておく価値があるかも知れません。

なお、ここで解説されているフォースの方法は広く応用が効きますので、フォースの手法だけでも是非覚えておきましょう。

4. Card in balloon (Derek Dingle)
現象/1枚のカードを選ばせ、表にサインさせてからデックに戻し、ケースに入れてポケットにしまう。風船を膨らませて、その風船を割ると、選ばれたカードが現れる。

これもカード当て(「Card on tie」同様、演者も選ばれたカードを見ていますから、正確には当てている訳ではないのですが)。現象よりも、その前の演技が面白いです(笑)。こういうちょっとしたジョークを入れると、演技がより楽しくなりますね。また、一見ギャグにしか思えない前半部が、ちゃんと後半の現象を起こすための準備になっているのが見事です。

これも、ある程度本格的なサロンマジックの場でもないとなかなか演じられませんが、アマーの演技を見ているだけでも楽しめます。

5. Larry's favorite (Larry Jennings)
現象/1枚カードを選ばせ、デックに戻す。相手に10から20の数を言わせる。トップからまとまった枚数のパケットを取るが、その枚数が相手の言った数と同じである。更に最後の枚数目から選ばれたカードが出てくる。

ここからは普通の(?)クロースアップマジックです。一種のカードアットエニーナンバー(SCAAN?)で、見せ方が独特です。ラリー・ジェニングスらしいと言えばらしい手順で、かなり細かいところまで考え抜かれた手順ですが、技法としては無理なところはありませんし、見た目は非常にクリーンで、実用的に演じられるトリックだと思います。

そして、「普通の人はこうして枚数を数えますが」という説明という名目で、枚数を調整するところが非常に巧妙です。これは覚えておけば使える手法です。

6. Mona Lisa card (Michael Skinner)
現象/1枚のカードを選ばせ、デックに戻し、相手によく混ぜさせる。デックからクラブのQを抜き出して、神マッチの上に立てかけ、デックをリフルすると、クラブのQが選ばれたカードに変化する。

シンプルなカードの変化現象です。コントロールとDLでやるのかと思ったら、相手にシャッフルさせてしまうので、どうやるんだと思って解説を見たら、「そっちかよ!」と(笑)。何にせよ、変に複雑なトリックよりも、こういうマジックの方が、分かりやすくて鮮やかに映るものです。解説ではクロスカットフォースを使っていますが、ここは自分の得意な方法でいいと思います。

紙マッチに立てかけ、デックをリフルしてカードを倒すのはいい見せ方ですが、今では紙マッチってなかなか手に入らないですよね。要らないカードや自分の名刺を2つに折っても使えるでしょうが、何かいい道具がありませんかね?

7. Impossible Miniature rising cards (Martin Lewis)
現象/ミニデックから2枚のカードを選ばせ、デックに戻す。デックをケースに入れ、デックにグラスを被せ、おまじないをかけると、選ばれたカードが1枚ずつ、2枚とも上がってくる。

これも、見るだけで「大変な準備が必要なんだろうな」と思うような現象です。予想通り、色々と準備が大変です。その分現象は非常に鮮やかです。道具がミニデックというのも変わっていて人目を引きますし、演じることができれば面白そう。クロースアップでも十分に演じられますが、ハードルは高そうです。

8. Spectator cuts to the aces (Elmer Biddle / Bob Vesser)
現象/相手にデックを4つにカットさせると、各パイルのトップカードからAが現れる。

この巻では珍しい、割と普通のカードマジックです(笑)。エド・マーローのトリックで似たようなのを見た記憶がありますが、こういうのは一時期みんながこぞって考えたでしょうから、似た手順もあるでしょうね。これの後半で使われている技法が、言われてみれば確かにヴィーザーコンセプトですね。シンプルでいい手順だと思います。

9. Anytime 4 aces (Frank Garcia)
現象/4枚のAをデックの中にばらばらに混ぜ込む。スペルを使うなどして4枚のAを取り出す。ダイヤのAだけ表向きにしてデックに入れておくが、最後はダイヤではなくスペードのAが表向きになっている。その状態でデックを左右に投げると、手元に4枚のAが現れる。

最初、ダイヤのAを出す時にアマーがカウントを1枚間違えていますが、ご愛嬌か(笑)。クライストのフォーエースにも似た味わいがありますが、ラストはホフジンザートスで4枚のAを一瞬で取り出してみせるため、鮮やかです。せっかく取り出したAをまたデックの中に戻すので、何か理由付けをしたいところではありますが、手順の中で自然にダイヤを元に戻してスペードをひっくり返すのは、よく考えられています。

少し手順としては取り留めのない印象もあるのですが、現象自体は分かりやすいですし、準備も必要ありませんので、実用性の高いトリックなのではないでしょうか。

10. Weiner's miracle princess cards (Irv Weiner)
現象/デックをよくシャッフルし、5人の相手に心の中だけで1枚ずつカードを覚えてもらうが、それを次々に当ててみせる。

最後のトリックは、演技がかなり長いです。演技シーンを見ただけだと、タネの手がかりすら掴めず、「一体どうやって当ててるんだ?」と思って解説を見たら、仰天しました。こんな仕掛けを使われちゃ、そりゃ見抜けません(笑)。

デック全体にかなり手の込んだ(というほどでもないか?)加工をしなくてはなりませんが、その分クリーンです。思っただけのカードを5人分当てられますから、上手く演じれば効果も高いでしょう。ただ、よほど上手く演じないとだれる恐れもあるでしょうから、メンタル風の演技に慣れていないと、実演して楽しませるのはハードルが高いかも知れません。

なおアマーは、5人のうち3人のカードだけ当てて、残りの2人はズボンのファスナーの中から(!?)出しています。アマーにそういう下品なネタは似合わないような気がするのですが(笑)、ちょっと演技が長く単調になるきらいもありますから、そのように変化をつけるというのもありかも知れません。個人的には、このようなメンタル風のトリックに、そういうオチを付けるのは趣味ではないのですが。


以上10トリック。今回は圧倒的にサロン用のトリックが多いです。加えて、カードを1枚ひかせる作品が多く、この辺りは好みが分かれるところかも知れません。クロースアップしかやらない人にとっては、「使える」ネタが少ないと思われても仕方ないかも知れません。

しかし、1枚ひかせるトリックでも、そのカードの現し方で、相手に与える印象が全く違うんだなということを、このDVDを見ていると感じさせられました。実用性という意味では必ずしも高くないDVDかも知れませんが、クロースアップ主体の人でも無理なくできるサロンネタが解説されており、その意味では価値が高いと言えます。

8巻と9巻だけ「失われた作品集」になってしまうのも、何とも勿体無い話です。外国のサイトでは今でも入手できますから、興味がある方はどうぞ。 

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Easy to master card miracles vol.7 (Michael Ammar)

今日の札幌はとても暖かったので、買い物がてら散歩に行きました。合計1時間くらい歩きました。私が住んでいるのは、札幌でも割と外れの方なので、ちょっと歩くと比較的緑が豊かな場所に行けます。

私が以前住んでいたのは、春になると、朝仕事に出る時に自宅のドアを開けると、うぐいすのさえずりが聞こえ、夏に仕事を終えて帰ってくると、ひぐらしの鳴く声が聞こえるくらい、大変環境が良い場所だったので、やはり都会すぎる場所は肌に合いません。適度に緑もある今の街は、割と気に入っています。

では、今日のDVDレビュー。アマーの「Card miracles」7回目です。このシリーズ、スクリプトマヌーヴァでこの巻までは日本語字幕がついたのですが、残り2巻はついに翻訳されませんでしたね。スクリプトマヌーヴァのDVDを見ていると、「これ、売れなかったんだろうな」というのが分かって、なかなか興味深いです。

アマーの「Card miracles」はそれでも7巻まで出たからいいですが、ダローの「Encyclopedia of card slights」なんて、2巻しか出てませんし(笑)。では行ってみましょう。

Easy to master card miracles vol.7 (Michael Ammar)

1. 2 shuffles Harry (Harry Lorayne / Brother John Hamman)
現象/2枚のカードを選ばせた後、デックを表裏ばらばらに混ぜるが、おまじないをかけ、デックを2つのパケットに分け、それぞれのパケットをスプレッドすると、2枚のカードを除いてカードが全て裏向きになっている。表向きの2枚は、もちろん選ばれたカードである。更に、スプレッドされた2つのパケットを表向きにすると、一方は全て赤いカード、他方は全て黒いカードである。

トライアンフにもう一捻りしたものです。もちろんヴァーノンの原案とは方法が違います。使うのはザロウシャッフルですが、アマーほどの名人の演技でも、やはりトライアンフにザロウシャッフルは合わないなと、改めて感じさせられました。

また、ラストにはもう一つ現象が加わっていますが、個人的にトライアンフに現象を増やすのは感心しません。トライアンフは「ばらばらだった表裏が揃う」「その中で1枚だけ向きが違うのが相手のカードである」と、そもそも二重現象です。そこに更に現象を加えるのは、蛇足以外の何物でもないように感じます。

24 seven vol.2」の「Color opener」は、トライアンフ+カラーチェンジングデックでしたが、そちらは「表裏をもとに戻したら、魔法が強すぎて裏の色まで変わりました」とでも言えば、まだ表現したいところが分かります。しかし、フェイスの赤黒が分かれたのでは、一体何を表現したいのかよく分かりません。やたら現象を足せばいいと言うものではないでしょう。

そういう訳で、私が演じるなら原案です。このトリックは、ちょっと演じてみたいとは思いません。

2. Perfect stop trick (Edward Marlo)
現象/1枚のカードを選ばせ、デックに戻す。好きな数を言ってもらい、トップからその数の枚数だけカードを配る。その枚数目のカードの数だけ、またカードを配る。それを繰り返すと、相手のカードが出てくる。

事典や、「奇術入門シリーズ トランプマジック」にも載っている「Deal away」です。本当にマーローが考えたのかと疑わしくなるようなセルフワーキングトリックです(笑)。もちろんセットは必要ですが、セルフワーキングカード当ての傑作だと思います。

このDVDで解説されている方法では、途中まではカードの数値の枚数目の次のカードを開き、最後には配った枚数の最後のカードを開いています。手順にちょっと統一感がない気がしますが、気にするほどではないかも知れません(別に、全部配った枚数目に統一しても、問題はないと思います)。

「トランプマジック」に載っているのは氣賀さんによる改案で、そちらはセットに一工夫する事で、最後にデックを表向きにスプレッドしてもトリックに気付かれないようになっています(原案だと、表向きにスプレッドはできない)。これは大変優れたアイディアですので、このトリックが気に入った方は、ぜひそちらも見てください。私も、氣賀さんの方法を使っています。

3. The Smith myth (Fred Smith)
現象/2枚のカードを選ばせ、デックに戻してよくシャッフルする。デックを2つのパイルに分け、それぞれのパイルの山からカードを表向きに1枚ずつ開いていくと、2人の選んだカードが同時に現れる。

相手がカードを自由にシャッフルしてしまいますので、かなり不思議に見えます。ただレギュラーデックではできないので、この仕掛け(というほどのものでもないですが)を使う別のトリックにつなげるのがいいでしょうね。その仕掛けを使った方法も巧妙です。最低限の技法と仕掛けの組み合わせで、ほとんど怪しい事をせずに一致現象が起きてしまいます。

最低でも2人の相手がいないと演じられませんが、2人よりも大人数に見せるのに適したトリックだと思います。サロンで演じれば盛り上がるでしょう。ただ、2人のカードが2つのパイルから本当に同時に出たらどうするんでしょう……。

4. Mind reading chicken (Lamon Reams)
現象/選んだカードを卵を使って当てると言い、その卵を割ると、なんと選ばれたカードの名前が書いてある。

要はフォースしたカードを、意外な方法で当ててみせるだけで、高木重朗さんの「トランプの不思議」に載っている「灰は語る」と同様のトリックですが、ありえない場所からカードの名前が現れます。こんな方法で当てるとは誰も思わないでしょうから、インパクトは絶大だと思います。まあ、アマチュアが気軽に演じられるようなものではありませんが……。

なお、フォースはホフジンザーの方法です。このフォースは、フェアに見えて確実なので、私も愛用しています。アマーはこういう、カードだけでなく、小道具を上手く使ったトリックは、本当に上手いですね。

5. Always cut cards (Larry Jennings)
現象/演者と観客で、4枚のAを公明正大にデックの中に混ぜ込むが、一瞬で4枚のAがトップから現れる。

シンプルなだけに強烈なトリックです。観客が本当に自由にカットしてAを混ぜますから、非常にフェアに見えます。方法も実に簡単。楽にできて非常にはっきりとした効果のある良いトリックですから、覚えておいて損はありません。

ジェニングスって、技法を無理に使いまくった作品を多数発表する一方で、こういう楽にできて素晴らしい効果のあるトリックや、頭のいい手順のセルフワーキングも数多く作っていますよね。クリエイターとしては、ジェニングスってかなり好きなマジシャンの一人かも知れません。

6. 6 card royal (Doug Edwatds)
現象/1枚のカードを選ばせる。3枚のカードをトップから取るが、数えるとなぜか4枚ある。1枚捨てて数えるとまた4枚である。それを繰り返すが、最後には3枚のはずが1枚になっており、それが選ばれたカードである。テーブル上の5枚のカードは、ロイヤルストレートフラッシュになっている。

カウント系トリックにカード当ての要素を入れた手順です。最後ロイヤルストレートフラッシュが現れるのが若干唐突な気がしなくもありませんが(最初に3枚のカードの表を見せる訳でもないし)、ポーカーを日常的に遊ぶ欧米の人だと、ロイヤルストレートフラッシュの5枚というのは、特別な組み合わせなのでしょうね。

技法としては、ほぼエルムズレイカウントだけでシンプルです。演じるなら、コミカルな味付けで演じてみたいところです。

7. Future deck (Jack Fosberg)
現象/あらかじめ予言を書いたカードをカードケースに入れておく。相手に1枚カードを選ばせ、そのカードもケースに入れる。ケースから2枚のカードを出すと、カードに書かれた予言と選ばれたカードが一致している。

入門事典にも載っています。素晴らしい逆転の発想で、知らない人だとかなりのマニアでも騙されてしまうと思います。私も初めて知った時は、「何という天才的な思いつき!」と膝を叩きました。こういうトリックを知って、「素晴らしい!」と思うか、「くだらない」と思うかが、マジックファンと一般の人の違いだと思います(笑)。

結構大変な準備が必要ですが(準備というより、このトリック専用のデックを用意しておく必要がある)、非常に強い現象ですので、準備しておく価値があると思います。入門事典には、さらりとこういう強烈なトリックが載っていたりするので、下手な最新のDVDを買うくらいなら、入門事典を熟読しましょう。

8. Cards across (Michael Ammar)
現象/7枚のカードの中から、2枚のカードを覚えてもらう。7枚のカードを封筒に入れ、別の封筒にも7枚のカードを入れる。封筒にはしっかり封がされるが、最初の封筒から選ばれたカードが消えて5枚になっており、後の封筒から9枚のカードが出てくる。選ばれた2枚のカードが移動している。

カードアクロスですが、糊付けした2枚の封筒を使い、相手に選ばせてよく混ぜたパケットから移動しますから、かなり不思議に見えます。手順も大変賢く、「こういうやり方をするのか」と、解説を見て感心しました。一級の不可能現象です。まあ、カードアクロスならもっと楽な方法が色々あるので、私が演じるかと言われると「ここまではしないかな」という感じでもありますが。

なお、ここで解説してくれているフォールスカウントは大変有用です。ビドルムーブやハーマンカウントでも枚数を偽ることは出来ますが、「音」を上手く使ったこの方法は、是非覚えておくべきです。

9. $2,000 transpo
現象/財布の上下に2枚のカードを置くが、その2枚が入れ替わる。

シンプルな入れ替わりのトリックですが、レギュラーでは出来ません。「THe Smith myth」同様の準備が必要ですから、そちらに続けて演じるのもありでしょう。

ただ、準備が必要にしては現象がシンプルに過ぎる気がします。これなら「トランプの不思議」に入っているパームを使う手順の方が、準備要らずですっきりしている気がしなくもありません。まあ、準備が必要な分、余計な手順が要らずにクリーンに見せられると言えばその通りですから、そこは好みの問題かも知れませんが……。

10. Cheaters poker (Allan Wakeling / Jim Steinmeyer)
現象/Aと関係のない3枚のカードを、4枚の封筒にそれぞれ入れるが、演者の封筒に4枚のAが集まる。

現象としてはエースアセンブリーなのですが、ジム・スタインメイヤー(ナインカードプロブレムで有名な方ですね)により、「世界でも名うてのディーラーが4人集まって……」という演出が付けられたようです。

最初私は解説を見てもやり方がよく分からず(私の英語力に難がありすぎる)、最近見てようやく分かりました。ちょっと反則っぽい方法を使いますが、確かに頭のいいやり方です。

そして、特別な技法は何も使わず、巧妙な手順により移動現象を実現しています。ただその分、違う意味で簡単に演じられないトリックになってしまっていますが(汗)。通常のエースアセンブリーと比べてサロンでも演じられる、見栄えのするトリックだと思いますので、特別な機会にはやってみても面白いでしょう。

11. Color changing deck (Paul Curry)
現象/ジョーカーを1枚ポケットに入れておく。相手に1枚のカードを選ばせる。そしてデックにおまじないをかけると、1枚を除いて裏の色が変わっている。その1枚が選ばれたカードである。更にポケットのジョーカーの裏色も変化し、最後には選ばれたカードの裏色も変化してしまう。

vol.3で、ダイ・ヴァーノンのカラーチェンジングデックが解説されました。あちらはレギュラーでできましたが、こちらはギャフを1枚使うポール・カリーの手順。カリーらしいちょっと複雑なトリックです(笑)。ギャフカードが1枚必要な分、非常に説得力があり、現象もパワフルです。

だからヴァーノンの手順より優れているかというと、必ずしもそうとは言えないような(汗)。私が演じるならば、シンプルなヴァーノンの手順です。トリックとしては、レッドホットママを彷彿させるところもあります。最初にポケットにジョーカーを入れる部分は、ちゃんと何らかの理由づけをしたいところです。


以上11手順。この巻は、少々特別な準備が必要なトリックが多いようです。その分、クロースアップでなく、サロンでも演じられるようなトリックも結構あると思います。そういうトリックも、覚えておけば何かの折に役に立つものです。ただ、最近の流行りではないかも知れませんね。私は逆に、流行のトリックにあまりついていけないのですが(笑)。

でも、スクリプトマヌーヴァの日本語字幕版がこの巻で終わってしまったという事は、あまり売れなかったんでしょうね。それでも、何度も繰り返しますが、変な最新のDVDを買うくらいなら、これを買った方がよっぽどためになる事は保証します。6巻までを持っている方は、ぜひ9巻まで全部揃えましょう(笑)。 

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Easy to master card miracles vol.6 (Michael Ammar)

一昨日の札幌は、午後からずっと雪でした。気温は3℃くらいはあったので、積もりはしませんでしたが、桜はまだまだ当分先のようです。

なんだか、この寒さに既に慣れてきています。まあ、外に出さえしなければ、外は3℃でも家の中は暖かいので(暖房つけなくても)、あまり寒さが厳しいなとは思いません。

ではDVDレビュー行ってみます。マイケル・アマーの名シリーズ、6巻目。このシリーズ、最初の6巻は全部買って間違い無しです。マジックを最初に覚える時は、こういういいマジシャンの演技で覚えましょう。

Easy to master card miracles vol.6 (Michael Ammar)

1. Close-up illusion (Larry Jennings)
現象/二枚の赤いカードの下に、青いカードを置くが、それがいつの間にか真ん中に上がってくる。真ん中に入れると、今度は一番下に移動する。

トリックとしては小品ですが、目を疑うような現象。カードにちょっとした準備は必要ですが、目の前でカードがぬるりと通り抜けるように移動するので、非常にインパクトのある現象です。ある意味、アンビシャスカードよりよほど強い衝撃を与えられるかもしれません。

ジェニングスって、マニアックの権化みたいなところがありながら、時々こういう作品を出してきたり、やはり発想が柔軟だったんだろうなと思わされます。何にせよ、カードワープとこれは、準備したカードをパケットケースに入れておいてもいいなと思わされるトリックです。

2. Play it straight triumph (John Bannon)
現象/一枚のカードを選んでもらい、残りのデックを表裏ばらばらに混ぜる。御呪いをおかけると、特定のマークのカードだけが順番に表向きに出て来るが、一枚だけ抜けているカードがあり、それが選ばれたカードである。

ジョン・バノンの有名な傑作。もちろんセットは必要なのですが、トライアンフの数あるバリエーションの中でも、易しくできる点、現象が込み入っておらずはっきりしている点で、群を抜いて優れていると思います。

アマーは、普通のトライアンフをやると見せかけて、「こうして表裏ばらばらに混ぜても、御呪いをかけると貴方のカードを除いて全部そろ……あ、カードを戻してもらうのを忘れてましたね。じゃあこうしましょう」という見せ方をしています。こういう見せ方も面白いですね。

カードを選ばせる時、アマーはクラシックフォースを使っています。フォースするカードが13枚もあるので、全然難しくないと思いますが、どうしても自信がなければリフルフォースなどを使ってもいいかもしれません。

3. Sleeve aces (Al Leech)
現象/デックを適当なところでカットして袖でこすると、次々と四枚のAが現れる。

スピード感のあるAのプロダクショントリック。セットが必要ですが、オープニング用トリックですから問題ないでしょう。方法自体は古典的なものですが、ハンドリングもよく考えられていて、スムーズに行えれば魔法に見えるでしょう。前半の二枚と後半の二枚で方法が違うので、一本調子にならないのもいいですね。

4. Spelling Collins aces (Martin Lewis)
現象/三枚のカードの上にAを乗せて、御呪いをかけるとAが消えてしまう。それを四回繰り返した後、デックから各Aの綴りでカードを配っていくと、次々とAが現れる。最後は、適当にカットした所のトップカードの数だけ配っていくと、そこから最後のAが出て来る。

コリンズエーセズ(アルファエーストリック)として有名な、スタンレイ・コリンズによるAの消失と出現現象のバリエーション。原案では、最後は四枚のパケットを五つ作り、そこからAを出現させるというものですが、この作品は綴りで現しています。

グライドというのは、今では軽視されがちな技法ですが、かのジェイコブ・デイリー博士は「アメリカでグライドを行える者は五人しかいない」と言ったそうですし、こういう基本技法は、怠らずにスムーズにできるようにしておきたいものです。最初、三枚のカードを配る時に、アマーは原案のシークレットアディションではなく、ダブルリフトを使っていますが、この方がスムーズでいいと思います。

5. Jumping Gemini (Darwin Ortiz)
現象/四枚のカードを使う。スペードのAを下に回しても、トップに上がって来る。スペードのAをテーブルにおいても、トップに戻って来る。四枚の同じカードを使っているかと思いきや、カードは四枚のハートの10になってしまう。と思ったら、四枚のKになっている。

レギュラーカードを使って、とんでもなくビジュアルな現象を実現しています。その反面、最後をフォールスカウントで見せねばならず、クリーンに終われません。この手のトリックだと、かなり高い確率で最後に「見せてみろ」と言われる事が多いので、現象は面白いのですが、私は練習はしたもののレパートリーに入れるには至っていません。

もちろん、例えばBウェーブも完全に改めさせる事はできないのですが、あちらはメンタルトリックでもありますし、最大の驚きのポイントは、仕掛けのあるカードを見せる時ではなく、最後三枚のブランクを示す時ですから、見る側にも検めを求める気持ちが起こりにくくなっています。

いつもいつもバノン言う所の「フラクタル」がベストとは思いませんが、トリックにビジュアル性を求めると、どうしても検めにくくなってしまいますし、そこのバランス感覚は難しいものですね。

6. Impossible (Larry Jennings)
現象/相手に好きな数を決めさせ、その枚数のパイルを三つ作らせる。一つのパイルの上に残りのデックを重ねさせ、残り二つのパイルのうち好きな方のトップカードを覚えさせる。そのパケットをデックに重ね、残りのパイルはよくシャッフルしてデックに重ねる。ここまで演者は後ろを向いている。演者は前に向き直り、今までやった事をおさらいする。デックのトップから「Impossible」の綴りに合わせてカードを配ると、最後に相手のカードが現れる。

巧妙なロケーションの原理を使ったカード当てです。最後、手順をおさらいするところで仕事をしてしまうのですが、実に巧いやり方をしています。マニアほど不思議がるタイプのトリックですね。カード一枚当てるのに、手続きが複雑すぎる気がしなくもないのですが、こういう巧妙なロケーショントリックも、一つくらいはレパートリーに入れておいてもいいでしょう。

7. Card on forehead
現象/選んだカードが宣言した枚数目から出ると宣言する。カードを数えさせるが、選ばれたカードは演者の額に張り付いている。

直前の「Impossible」が、選ばれたカードを知る「ロケーション」に重点を置いたトリックであるのに対し、こちらは選ばれたカードを現す「リベレーション」に重点を置いたトリックです。フラリッシュ的な現し方も悪くはありませんが、こういう場を和ませるような演目も、一つや二つは覚えておくべきでしょう。

同様のトリックは、「奇術入門シリーズトランプマジック」にも「頭の働き」として入っていますが、あちらは額に貼り付けるところはストレートに行うのに対し、こちらはミスディレクションを利用しています。方法はシンプルで古典的ですが、いいトリックだと思います。

8. Triple coincidence (John Scarne)
現象/演者と観客が、二つのデックから三枚のカードを選び、交換してから自分のデックの中に入れる。それを三回繰り返すが、デックを広げて選ばれた三枚のカードを確認すると、三枚とも一致している。

派手さはないものの、奇跡的な三重の一致が起こる、大変強烈で不思議なトリックです。原案はジョン・スカーニ。高木重朗さんの「トランプの不思議」にも、「三重の一致」として解説されています。こういう、観客参加型の一致トリックは、大変受けがいいものです。準備は必要ですが、ここぞという時のキラートリックにもなりうる、パワフルなマジックだと思います。

9. Miracle
現象/五枚のカードから、演者が後ろを向いている間に一枚だけ覚えてもらうが、それが予言されている。

原理としては他愛のないものですが、カードを選ばせる時の、思い込みを利用したサトルティがいけています。これはエドワード・マーローの方法ですかね。「ずっと後ろを向いていたはず」と思わせる錯覚をうまく使っています。シンプルなトリックではありますが、この原理は色々と応用が利きそうですね。

10. Oil and queens (Roy Walton)
現象/赤黒交互に並んだ八枚のカードを、四枚ずつのパイルに分ける。一方のパイルが全部黒になる。残ったパイルが赤いカードになるかと思いきや、四枚のQになっている。

オイルアンドウォーター系のパケットトリックです。改案もありまして、そちらの方が優れていると思うのですが、アマーはウォルトンの原案を演じています。ハーマンカウントで、九枚全部数えるやり方ですね。オイルアンドクイーンズについては、以前の記事でも書いていますので、ご参照ください。

個人的には、オイルアンドクイーンズは、トリックとしてはちょっと取り止めのない現象だと思っていまして、あえてこれを演じるなら、ゆうきともさんの見せ方が一番いいと思いますので、興味がおありの方はMonthly magic lessonの動画を見てみてください。

11. Queens soiree (Dai Vernon)
現象/四枚のQをハンカチの上に置き、そのうちの二枚の上に二枚の絵葉書を乗せる。Qをハンカチの下に持って行く度に、ハンカチの下のQは消え、絵葉書の下に移動してくる。最終的に全てのQが一箇所に集まる。

コインアセンブリーの中でも、一番易しく出来るものを、カードで演じたものです。ゆうきともさんが、「トランプの友 知の参」で、「スルスル2003」という改案を発表しています。最初のカードの移動の仕込みは、ゆうきともさんのバージョンの方が優れていると思いますので(アマーは、コインと同様の方法を使っているが、ゆうきさんはカードならではのやり方を使っている)、興味がおありの方は、ゆうきさんのやり方をご参照ください。

最近は、スリーフライに代表される、「カバーせずにダイレクトに移動」というのが流行っているようですが、個人的には、移動トリックには「ミステリアスな部分」を残している方がいいと思うのです。だって、本来そんな事起こるはずがないですから、想像の余地を残している方が、見る側にストレスをかけないと思うのです。

その意味で、絵葉書とハンカチを使うこのトリックは、程よく見る側の好奇心を刺激してくれる、素晴らしいトリックだと思います。さすがはヴァーノンですね。

Bonus effect / Ace in the hole (Nick Trost)
現象/五枚のカードを使う。四枚の表向きのカードは、Aが一枚と、関係のないカードが三枚である。裏向きの一枚も関係ないカードだが、それはテーブルに置いておく。御呪いをかけると、手元の三枚がAになるが、最後の一枚はAではない。テーブルの一枚をひっくり返すと、それがAになっている。

文章で書くとちょっと分かりにくいですが、実際には非常に分かりやすく鮮やかなトリックです。かなり特殊な印刷のカードを三枚使いますが、それはおまけでついてきます。ギミックのお陰で、非常にインパクトのある現象が、ほとんど自動的に起こります。さすがニック・トロスト。ポーカーの話でもしながら演じれば、楽しいでしょう。


以上、今回も安定の十二作品。現象も多岐に渡っており、見るだけでも飽きません。アマーの演じ方が、またとても「いい感じ」なのです。アマーは、名レクチャラーと言われますが、それだけでなく演技者としても超一流ですね。本当にこの人は「大名人」だと思います。

未所持の方は是非どうぞ。何せアマーのDVDは古今の傑作選ですから、外れトリックは入っていません。名作を是非、アマーの演技、アマーの指導で身につけましょう。 

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Easy to master card miracles vol.5 (Michael Ammar)

今年も残すところあと三週間。来週の日曜日は、所用で岡山まで行きますので、このブログの更新はありません。朝六時ごろに家を出て、新山口駅まで行き、そこから新幹線に乗るのです。帰るのは、多分夜七時を回るでしょうから、それからブログを書く気力は、多分なさそうです。

下関から岡山は、高速道路だと三時間以上かかりますが、のぞみ号に乗れば一時間十五分ですから、あっという間です。十一月は札幌に二回行ったのですが、札幌までは飛行機を使って、家を出てから着くまで五時間以上かかりますからね。それに比べれば、岡山なんて近い近い(笑)。

では、今週のDVD紹介。アマーのEasy to master card miraclesの五回目です。相変わらず、トリックの選択が素晴らしく、現象も変化に富んでおり、どれを身に着けても間違いありません。パッケージ写真のアマーの満面の笑みが素敵です(笑)。

Easy to master card miracles vol.5 (Michael Ammar)

1. Virginia city shuffle (Martin Lewis / Louis Falanga / John Luka)
現象/一枚のエースと三枚のブランクカードを使い、エースの行方を当てさせる。テーブルにブランクカードを置いておくが、手元のカードが全部ブランクになっており、テーブルによけておいたカードがエースに変化している。それをもう一度繰り返し、最後には、テーブルに置いておいたカードはブランクのままで、手元のカードが三枚ともエースになっている。

モンテ系トリックの傑作です。サイドウォークシャッフルのバリエーションと言えます。実際現象はほとんど同じなのですが、あちらと違うのは、カードに仕掛けがない事です。最後全部手渡しできます。もちろん技法は使いますが、さほど難しくはありません。何より、最初のブランクカードの示し方は、初めて知った時はその巧妙さに感心しました。

普通、ギミックを使用するトリックを、ギミックを使用せずに実現しようとすると、どこかに無理が生じてくるものですが、この作品の場合は、それが上手く帳消しにされています。サイドウォークシャッフルは、ギミックを使うが故の制限、扱いづらさというのもありますからね。その意味で、サイドウォークシャッフルはもちろん傑作ですが、これはこれで非常に意義のある改案だと思います(フレッド・カップスが演じていたように、ブランクカードに印をつけようと思ったら、また別のお話ですが)。

以前にも書いた通り、こういうトリックは見せ方が難しいですから、安直に「観客を負けさせて、マジシャンの不思議な力を誇示する」ような見せ方は、やめておいた方が無難です。それはともかく、手軽でパワフルなトリックですし、ギミックを使いませんから、この四枚をいつもパケットケースに入れておきたくなります。

2. Another quick coincidence (Allan Ackerman)
現象/演者は一枚のカードを置いておく。観客にも一枚のカードを選ばせ、それをデックの好きな位置に差し込ませる。演者のカード、観客のカードは共にエースであり、更に観客が差し込んだ位置の両側のカードもエースで、四枚のエースが揃う。

手軽に演じられるフォーエースのプロダクションです。セットも簡単ですし、技法もほとんど使いませんので、即戦力になります。ビル・サイモンのプロフェシームーブを使うのですが、この技法は、簡単なのに非常に強い錯覚を生みます。冷静に考えれば、非常に大胆な事をしているのですが、「相手のカードを表にする」という目的があるため、堂々とカットしても、それが相手の目に留まらないのです。心理的な盲点をついた、非常に「マジックらしい」動作と言えましょう。

3. Henry Christ's fabulous four ace trick (Henry Christ)
現象/デックに混ぜ込んだ四枚のエースが、色々な方法で現れる。

これも難しい技法を使わずにできる、四枚のエースのトリックです。最初の四枚のエースの配置方法が大事なのですが、解説で四枚のエースだけ違う裏色のカードを使ってくれているため、とても分かりやすいでしょう。一枚エースを出す度に、次の準備までしてしまう、賢い手順です。

三枚目だけは、スペルを使って出し、四枚目はラズルダズルカットを使って出します。解説では、スリップカットを使う方法も説明していますが、ラズルダズルカットは、易しくできて非常に派手に見えますから、知らない方はこの機会に、是非身に着けるといいと思います。

4. Cards into card box (Mark Lefler)
現象/デックをシャッフルし、広げて相手に一枚とってもらおうとするが、「ごめんなさい、カードを出すのを忘れていました」と言うと、デックのはずがカードケースになってしまっており、改めてデックを箱から取り出す。

瞬間芸のようなトリックですが、アマーの見せ方は実に見事です。最初ぼーっと見ていたら、見事にひっかかってしまいました(笑)。これと同じような現象を実現するためのギミックもありますが、こちらは何の仕掛けもいりません。その分、見せ方は難しいと思います(角度とか、手の形とか)。アマーの見せ方をお手本にしましょう。

5. The gun trick (Ken Krenzel)
現象/あらかじめスペードのエースを出しておく。一枚のカードを選んでもらい、デックを拳銃の形に噛み合わせる。スペードのエースを弾丸に見立て、デックの拳銃に押し込むと、相手のカードが飛び出してくる。

動きのあるカード当てです。カードマジック入門事典に掲載されており、「このトリック一つで本書の値段に匹敵する」とまで書かれている、優れたトリックです。アマーの演じ方は、入門事典のやり方とは少々異なりまして、私はアマーのやり方の方が優れていると思います。

このような、ちょっと派手なカード当ては、身に着けておくと演技のアクセントとしてとてもいいと思います。カード当てが嫌いで、今風のビジュアルなトリックが好きな人も多いようですが、何せ、一般の人が想像するカードマジックと言えば、やはりカード当てなのです。「選ばれたカードの現し方」というのは、色々知っていれば、それだけでも見る側に違う印象を与えられますよ。

6. Card on ceiling (Michael Ammar)
現象/一枚カードを選ばせ、デックに戻させてから、デックに輪ゴムをかける。その状態でデックを天井に投げると、相手のカードだけが一枚貼りついている。

古典トリックであり、アマーの得意技です。アマーと言えば、トピットかカードオンシーリングという印象。Gun trickよりも更に強烈な印象を与えられるでしょう。天井に貼りついたカードを、後でちゃんと取り除けるような場所でないと、トラブルの元になるのは言うまでもありません(笑)。

もちろん、道具が必要なのですが、アマーはセットの仕方も分かりやすく説明してくれています。トリックの構造としては単純なのですが、アマーのよく考えられた手順は、一見の価値があります。ちょっとしたサロンでこれを演じれば、デック一つで、後々まで語り草になる演技になる事は間違いありません。

7. Torn and restored card (J.C.Wagner)
現象/選ばれたカードを四つに破る。その破片の一つを観客に持っておいてもらい、残り三つを演者が持つが、おまじないをかけると、三つの破片はくっつき、観客が持っている残り一つともぴったり一致する。

比較的易しくできる、破ったカードの復活です。ちょっとした準備は必要ですが、そのお陰もあって、「確かに四つに破った」という、見た目の説得力も高いと思います。この部分のハンドリングは、実によく考えられています。

カードが全部元に戻らないのは残念ですが、その分相手が持っていたカードの破片とぴったり一致するという演出がありますから、効果を減じる事はないでしょう。それに、カード全部が復活する手順だと、当然ながら「本当は破らず、破ったように見せるだけ」か、「どこかで丸ごとすり替える」という手順が多いですから、これはどちらを取るかの問題でしょうね。私は、この手順は十分魅力的で、演じる価値があると思います。

8. Hofzinser all backs (Harry Riser)
現象/一枚カードを選んでもらってデックに戻した後、三枚のカードを抜き出す。三枚を確認すると、どれも選ばれたカードである。次の瞬間、三枚のカードは全部ダブルバックカードになっている。更に次の瞬間、三枚には表が戻っているが、全部選んだカードではない。それをデックに戻すと、トップカードはちゃんと選ばれたカードである。

「どこにもあってどこにもないカード」にオールバックを組み合わせたような作品ですが、ちょっと(かなり?)現象が込み入っているので、見る側が混乱を起こすような気もします。手順とハンドリングはとてもよく考えられていますので、演じるならば、何か面白い演出でもつけたいところです。

個人的に、オールバックというトリックはあまり演じる気が起きません。ダブルバックカードというのが存在するというのを、観客に示すようなトリックはやりたくないというのが、正直なところです。佐藤総さんは、「カードマジックデザインズ」の中で、「トランプが故障した」という演出をしていましたが、「故障」という演出と、ダブルバックという異常なカードを見せるという現象が上手くマッチしていて、面白い演技でした。

そのように何か上手な演出でもなしに、そのような異常なカードを示すというのは、私はちょっとなあと思ってしまいます。ブランクカードであればまだ、「印刷前のカード」又は「予備のカードで、カードをなくした時にこれに表を自分で描きます」という演出が使えますが、ダブルバックは明らかに異常ですからね。

9. Out of sight, out of mind (Dai Vernon)
現象/相手が心の中で決めただけのカードを、当ててみせる。

ダイ・ヴァーノンの有名なトリックです。心の中で決めただけのカードを当てるのですから、そのインパクトは絶大です。マルティプルアウトが少し複雑ですから、これは英語だとちょっと理解しにくいかも知れません。一度流れを覚えてしまえば、そうでもない気もしますが。カードマジック事典にも掲載されていますから(p187「カードの読心術」)、そちらも合わせて参照するのがいいでしょう。

これのバリエーションに「インターセプト」というのがあります。大きな違いは、最後のカードの示し方で、インターセプトは最後まで相手のカードの名前を聞きません。これとは意外と印象の違うトリックですから、興味がおありの方は入手してみてください。

10. Grasshopper (Paul Harris)
現象/二枚の黒いKの間に挟んだ相手のカードが、二枚の赤いKの間に移動する。

シンプルな移動トリックです。現象はシンプルなのですが、ハンドリングやカードの示し方は、いかにもポール・ハリスっぽいと言いますか(笑)。こういうトリックを、エキストラを使わずにやってしまうところも、ポール・ハリスならではという感じですが、カードのすりかえなど、とても巧妙です。手軽な即興トリックとして、覚える価値があると思います。

Bonus effect / Paramount (Aldo Colombini)
現象/カードを選ばせ、表にサインをしてもらいデックに戻す。裏色が違う3枚のブランクカードを出し、これで選ばれたカードのコピーを作ると言い、裏の色が変わり、表には選ばれたカードが現れる。更にそのカードに観客のサインまで現れる。

今回のおまけトリック。使用するギャフカードは、例によって付属しています。非常に強い効果を持つ、ビジュアルなトリックです。最初のフォースは、クライストのフォースを使っていますが、フォースが少し重いような気がするので、もっと単純なフォースでもいいような気もします。

また、シークレットアディションを行う箇所では、選ばれたカードを示すという動作に紛れさせているため、怪しさが軽減されているのが上手いところです。シークレットアディションって、大抵何の理由もなく、パケットをデックの上で揃えたりしますからね。現象も、裏、表、そしてサインと、段階を追ってカードを変化させるのが面白く、やってみたくなるトリックです。


以上11作品。難しすぎず簡単すぎず、難易度も適度です。少し準備が必要なトリックもありますが、その準備に見合う効果があるトリックばかりだと思います。優れたトリックを、アマーの素晴らしい演技で是非覚えてみてください。 

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Easy to master card miracles vol.4 (Michael Ammar)

今日は、フルートのアンサンブル発表会でした。ラストの全体合奏は、私が編曲した松田聖子のメドレー。「青い珊瑚礁」「赤いスイートピー」「白いパラソル」の3曲を繋げて、題して「松田聖子トリコロールメドレー」。私には、こういう趣味もあるのです。編曲は最近はあまりやっていませんが。

マジックの動画はアップする気は全くありませんが、自分が作曲とか編曲してフルートで演奏した動画は、実はYoutubeに結構アップしてあります。そのうちご紹介するかも知れません。

では、今週のDVDレビュー。マイケル・アマーの名シリーズ、4回目です。4巻目も、さすがの名作揃い。難易度は少し上がってきた気もします。そして観客が、おなじみのL&Lの面々で、安心感があります(?)。

これに入っている作品を、「今となっては古い」なんていう人のマジックが、面白かった試しがありません。そんな事を言う人の感性の方が、私は心配です。「ベートーヴェンの音楽なんて古いよ。AKBの方がいい」なんて言う人はいませんよね?(笑) クラシックが生き残るのには、理由があるのです。

それでは行ってみましょう。

Easy to master card miracles vol.4

1. Dunbury aces (Charlie Miller / Dave Lederman)
現象/相手が選んだカードを、ヒントのカードで当てると言って、何枚かのカードを示し、相手のカードの色やマークを少しずつ絞り込むが、途中で相手のカードが出てしまっている。失敗したかと思いきや、最後に相手のカードが現れる。テーブルの上には4枚のAが揃っている。

チャーリー・ミラーの「ダンバリーデリュージョン」の改案です。原案は、面白いトリックではあるのですが、セカンドディールを使うので結構難しく(他にも、技法自体は難しくないものの、ちょっと手こずる箇所があります)、あまり原案を演じる人はいないのではないでしょうか。

この改案は、4枚のAのプロダクションをもやってしまう豪華なオチがついている上に、手順は簡単になっているというのが見事です。とは言え、やたら現象を付け加えるのがいいとは限りません。原案には、これはこれですっきりした良さがあります。それに、原案はセットアップが要りませんでしたが、こちらはセットが必要です。

また、原案では選ばれたカードは最初に出てきますが、こちらは2枚目に相手のカードが現れます。手順の関係でそうなるのですが、どちらがいいかは好みの問題かも知れません。

2. Your signed card (Brother John Hamman)
現象/最初に1枚のカードをテーブルに置いておく。相手に1枚のカードを選ばせ、サインしてもらいその上に4枚のエースを乗せるが、おまじないをかけると相手のカードは消えてしまう。最初にテーブルに置いておいたカードを開くと、それが相手のサイン入りカードである。

ジョン・ハーマンの歴史的傑作です。どんな発想でこんな作品を思いつくのでしょうか。凄いとしか言いようがありません。これを適切に演じる事ができれば、いつまでも印象に残る、第一級の奇蹟を見せる事が可能でしょう。

このトリックでは、安直に「予言のカードを出しておきます」などとは、決して言ってはなりません。あるいは、入れ替えのマジックにしてしまっても駄目です。それでは効果が激減します。アマーは「パラドックスカード」という表現をしていますが、他にも「このカードは、本来ここには存在しないカードなのです」という言い方もできるでしょう。とにかく、時空を飛び越えたとでも表現のしようのない、不条理感を出したいところです。

そして、カードのスイッチ方法も見事です。アマーは「このカードには手で触れません」と宣言し、手で触れないからという理由で、カードを使ってテーブル上のカードを取り上げています。アマーの細やかな演出は、さすがの一言ですね。

ただこのハーマンの手順で気になるのは、相手のカードが消えた事を示す時です。黒いAを3回見せないといけないのです。ここが気になるのか、色んな人が色んな改案を作っていますね。しかし改案というのは、往々にして一か所の瑕を消そうとすると、別の場所に無理が出てくるものです。黒いAが3回出てくる事など、案外気にしない方がいいのかも知れません。

3. Ambitious classic (Larry Jennings)
現象/スペードのAから5までの5枚のカードを使い、パケットの中に入れたカードがトップに上がったり、裏表がひっくり返ったりの現象を繰り返しながらカードを1枚ずつ減らしていく。最後に残った1枚は、ジョーカーに変化している。

ラリー・ジェニングスの作品。これも歴史的傑作です。ダイ・ヴァーノンをして「完璧な手順」と言わしめたという話は有名です。ヴァーノンの言葉通り、手順構成の巧妙さには、感心するしかありません。よくこんな手順を考え付くものです。

しかし、この作品にはそもそもストーリーがあるはずです。サーカス一家の話をしながら演ずるのが、本来の案のはず。ところがアマーはただ現象だけを見せているばかりか、最初にフルデックを使ったアンビシャスカードをやった後に、この手順をやっています。これでは、ただの「脈絡なく色んな現象が起こるだけ」のトリックになってしまいます。

この作品を演じてみたい方は、荒木一郎さんの「舶来カード奇術あらカルト」に、最初のハンドリングをより自然にし、ストーリーもちゃんと紹介している改案が紹介されていますので、是非そちらもご覧ください(p107「サーカスファミリー」)。私も、荒木さんの手順を使っています。荒木さんは、3だけハートを使い、「ハートの3は紅一点」とやっていますが、私もそのようにしています。荒木さんのトーク案は巧みで、「末っ子は労働基準法があるので、一度しか演技できません」なんて、洒落たトークですよね。

ただ、アマーも荒木さんも、スペードのAから現象を見せ始めています(つまりストーリー上では、スペードのAが末っ子で、5がお父さんという事になる)。私は、やはり5が末っ子で、Aがお父さんで、それがジョーカーに変わるという方が、すっきりしているように思うのですが、そう思うのは私だけでしょうか。

4. J.C.'s super closer (J.C.Wagner)
現象/デックを4つに分け、4枚のAをそれぞれのパイルに混ぜ込む。1つのデックにまとめ、それぞれのAの綴りでカードを配ると、綴りが終わったところでそれぞれのAが現れる。配り終わったら4枚のカードが残るが、その4枚を4つのスートの綴りで配っていくと、今度は配った綴りに対応する4枚のKが現れる。さらに、テーブルに配ったカードを開くと、全部のカードがスート別に分かれている。

大変豪華な現象です。クローザーの名前の通り、ラスト向けのトリックですね。その分セットはとても面倒です。ただ、技術的にはほとんど難しいところはありません。フリーカットの原理を使っていますが、この原理は上手く使うとマニアでも引っ掛かる恐れがある、とても優れた原理です。途中アマーが、1枚しかないカードで綴りを言うところが面白いです(笑)。

アマーの演技では、最初に4枚のAを取り出すところから始めていますが、これも易しくて効果的なので、覚えておいて損はないでしょう。このトリック自体は、セットが大変なので、簡単に演じられる作品ではありませんし、スペルを使うので演じにくい面はありますが、現象が素晴らしいですから、一度はトリにこんな作品を演じてみたいものです。

5. Reset (Paul Harris)
現象/4枚のAと4枚のKを示し、Kはテーブルに置いておく。4枚のAのパケットを手に取るが、1枚ずつKに変わっていく。4枚ともKになったところで、リセットボタンを押すと、一瞬で4枚のAに戻る。テーブルに置いてある4枚は、もちろんKである。

先日記事にもしたリセット。ほぼ原案通りですが、最初のAの示し方が、少しだけ違います。ハリスよりアマーの見せ方の方が自然だと思います。私はどうも、ハリスのアスカニオスプレッドの「妙なうねうね感」が好きになれなくて(笑)。

リセットについて言いたいことは、前回の記事で書いたので、ここでは多くを語りません。アマーのリセットは、癖がなく分かりやすい、お手本のような演技で、これを参考にしていれば間違いありません。

6. Untouched (Daryl)
現象/マジシャンが選んだカードを、観客が当てる。マジシャンは一度もカードに触れない。

私が大好きな、「観客によるカード当て」。これも以前記事に書きました。古典的な原理を使っている完全セルフワーキングですから、マニアはこういうトリックを軽視しますが、「観客がマジシャンのカードを当てる」という演出が、このトリックを卓越したものにしています。とにかく、馬鹿にせずに一度演じてみてください。絶対に受けますから。

7. Lazy man's card trick (Al Koran)
現象/観客が選んだカードを、マジシャンが当てる。マジシャンは一度もカードに触れない。

Untouchedに続いて、マジシャンがデックに触れないトリックです。最初から最後まで操作するのは観客だけで、マジシャンは何もしません。セットは必要ですが、上手く演出できれば、観客も巻き込んで大変楽しめるトリックです。マジシャンたるもの、いくつかはこういう「観客に花を持たせるトリック」を持っていないといけません。こういうトリックを、初心者向きと馬鹿にするなかれ。こういうトリックの威力を正当に評価できる人こそ、上級者なのかも知れませんよ。

8. Rubber band surprise (Bert Fenn)
現象/1枚のカードをテーブルに置きい、デックに輪ゴムをかける。テーブルの上のカードもデックの中に入れる。おまじないをかけると、最初のカードだけがデックから飛び出してくる。

輪ゴムを用いた、効果的なカード当てです(正確には、マジシャンがカードを1枚抜き出しているから、当てている訳ではないですが)。輪ゴムは小さいものが必要です。大き目の輪ゴムを二重にしてもいいですね。マジック用の、19号の輪ゴムを二重にすればちょうどおあつらえ向きです。

輪ゴムのかけ方さえ上手く行けば、あとは自動的に上手くいきます。手軽でいいトリックです。合間にこういうちょっとした道具を使ったトリックを演じれば、いいアクセントになると思います。

9. Card thru table
現象/1枚選んでもらったカードをデックに戻し、テックをテーブルの上に置く。デックの上から指で押さえると、選ばれたカード1枚だけが、テーブルを抜けて落ちてくる。

コインズスルーザテーブルならぬ、カードスルーテーブル。コインの方が絶対受けるに決まっている、なんて思うかも知れませんが、全てをマジシャンの手の中でやるコインズスルーザテーブルに対し、こちらは、観客にデックを押さえさせると、観客自身の手にカードが落ちてきますから、そのインパクトは絶大でしょう。ただ、それ以外の観客には現象がよく分からないのが玉に瑕ですが、1人の相手に見せるのなら、コインよりはるかに受けるのではないでしょうか。

解説では、小さな透明テーブルを使ってくれており、とても分かりやすいです。それにこのトリックに習熟すれば、ミスディレクションの練習にもなるでしょう。さらりとこういう「覚えればマジックの大事なコツをつかめる」作品を入れる辺り、アマーのセンスの良さを感じます。

10. Dr. Daley's gambler vs. magician (Dr. Jacob Daley)
現象/デックをカットして同じカードを4枚出してみせると言い、3枚までKが出るが、4枚目はAが出てしまう。ところがおまじないをかけると、3枚のKはAに変化してしまう。Kはマジシャンのポケットから現れる。

「マジシャン対ギャンブラー」は、それこそプロットは16世紀の「妖術の開示」にまで遡る古典中の古典です。よく知られた手順は、ハリー・ロレインの作品のはずだがと思って見てみると、大きな違いは最後Kをポケットから出すやり方です。原案ではパームを使いますが、この作品ではカードケースを用いた、非常に賢いやり方をしています。前半のブレイクの処理も、よく考えられていて感心します。

ちなみにこの手法はケースのデザインに条件があり、現在流通しているバイスクルのスタンダードデックでは、無理があるでしょう。パームを使う原案も、カードが変化して相手が驚いている間にやるのですから、決して難しくはないと思いますが。

何にせよ、ストーリーと現象がマッチし、最後のどんでん返しも見事な傑作。やはりこの作品は、ストーリーを話しながら演じたいですね。「ある日私がラスベガスを旅していると」に無理があれば、「ある日私が歌舞伎町を歩いていると」でもいいかも知れません(笑)。

Bonus effect / Factory misprints (J.C.Wagner)
現象/4枚のブランクフェイスカードに、次々表が印刷される。

ビジュアルで分かりやすく、すぐ現象が起こります。スピーディでいいトリックですね。こういうトリックはオープニングに適しているかも知れません。使うカードは当然ギミックカードですから、理由をつけてそそくさと片付けないといけませんけど(笑)。

例によって、使用するギミックカードは付属しています。パケットトリックでおなじみの技法を使えるなら、すぐ演じられると思いますが、こういう「見た目明らかに異常な事が起こる」トリックは、手つきにも注意して、流れるように美しく演じたいものです。


と言う訳で、全11作品。今回も一つの駄作もありません。私は今回改めて全部見直してみたんですが、以前見た時には魅力的に思えなかったトリックも、改めて見てみると、とてもよくできている事に気付きました。

何度も言います。変な最新のDVDを買うくらいなら、アマーのこのシリーズを買いましょう! 

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