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Killer card tricks (Kris Nevling)

引越し準備で色々忙しく、なかなかマジックにかける時間がありません。今日は用事があって外出したんですが、どうも体調が良くありません。風邪の前触れじゃないと良いんですけど。

では今日のDVD紹介。クリス・ネブリングが効果的なセルフワーキングトリックを紹介してくれているDVDですが、私が購入した時は、価格が驚きの千円でした。ほとんどの演技で観客がおらず、ネブリングが一人で演じていますが、それは値段を考えれば仕方ないでしょう。

ただ、古典作品が多いのですが、タイトルが元とかけ離れているのが、ちょっといただけません。クレジットもないですし、この辺りはきちんとして欲しいですね。

それでは行きましょう。

Killer card tricks (Kris Nevling)

1. Impossible
現象/観客がカードを裏向きのまま直感で赤と黒に分けるが、表にするとそれが綺麗に赤黒に分かれている。

現象としては「Out of this world」ですね。ガイドカードの交換がない方法です。このやり方は、確かポール・ハリスの「Galaxy」ですね。セットは必要ですが、最初にリフルシャッフルさせられるのは面白いです。

ただ、一般の方でちゃんとリフルシャッフルができる人はほぼいないでしょうから、ロゼッタシャッフルを使うのが良いでしょう。あるいは演者がリフルシャッフルをして、観客に押し込ませるか。何れにせよ、最後の処理に抵抗がなければ、インパクトのある良い手順だと思います。

2. Impossible version 2
現象/観客がカードを裏向きのまま直感で赤と黒に分けるが、表にするとそれが綺麗に赤黒に分かれている。

これは即興で演じられる「Out of this world」です。途中でガイドカードを入れ替えます。「奇術入門シリーズカードマジック」に出ている、U.F.グラントの方法に近いですが、最後のスイッチの方法が違います。タイムミスディレクションも活用している、なかなか巧妙な方法です。また、途中でさりげなく手元のデックを広げて、ばらばらである事を示しているのが効果的です。

3. Royal triumph
現象/一枚のカードを選ばせる。そのままデックを表裏ばらばらに混ぜる。おまじないをかけると、一つのマークのみ、数字順に表向きになっているが、抜けている数字がある。それが選ばれたカードである。

ジョン・バノンの「Play it straight」です。どの辺りがRoyalなのかはよく分かりません(笑)。この演技は、ちゃんと普通の観客に対して演じている様子が収められています。そちらの方は、カードの選ばせ方がちょっと煩雑です。何より、女性の太腿の上をテーブル代わりにしているのが凄い(笑)。

最初のフォースは、自分の得意な方法でやっても良いと思います。もちろんセットは必要ですが、インパクトのある良いトリックです。

4. Think force
現象/最初に予言を紙に書いておく。カードを一枚ずつ配り、好きなところでストップを掛けさせるが、ストップがかかったところのカードは、正に予言されていたカードである。

一種のメンタルフォース(サイコロジカルフォース)です。心理トリックですから、相手の呼吸を読む必要がありますが、これを確実に成功させるのは、結構大変だと思います。一応、失敗した時の対処も解説していますが、私はこれを実際に演じる度胸は、ちょっとありません。

5. Any card thought of
現象/相手に1〜52の好きな数を決めてもらう。カードを一枚ずつ配り、相手が決めた枚数目のカードを覚えてもらう。その後デックを混ぜ、相手に数を教えてもらう。その枚数目を見るが、混ぜているので当然覚えたカードではない。が、おまじないをかけると、選んだカードがトップから現れる。

単純な原理を使ったロケーショントリックですが、最初見た時は引っかかってしまいました。複雑な技法や原理より、こういう単純な原理を上手く使える人が、名人なのかも知れません。

ネブリングは1〜52の数字を選ばせていますが、デックを全部配るというのは冗長になりますし、10〜30くらいで指定してもいいような気がします。

そしてフォールスカットは、別に解説されているものでなくても、得意なものを使えば良いと思いますが、こういうトリックの時に、過剰にテクニカルな(フラリッシュ風の)フォールスカットは避けた方が良いというのは、言うまでもありません。

6. The convincer
現象/一枚のカードを覚えてもらい、デックに戻ししっかりシャッフルする。トップの辺りにも、ボトムの辺りにも選ばれたカードはないが、おまじないをかけると、トップから選ばれたカードが現れる。

これは大変巧妙なロケーショントリックです。これも原理は大変シンプルですが、使い方が上手いので、マジシャンでも引っかかってしまうかも知れません。ポインティンググリンプス、又はテイクジスグリンプスと、原理を上手く組み合わせて、非常に上手いトリックに仕上がっています。これは是非覚えておきたいトリックです。

7. The gambler
現象/ポーカーデモンストレーション。5人の相手にポーカーハンドを配るが、マジシャンにはロイヤルストレートフラッシュが来る。

現象が起こるまでがやたら長いポーカーデモンストレーションです。最初にデックを26枚ずつに分けた後、ボトムディールやセカンドディールの解説も入れていますが、これはやはり好き好きでしょうね。更にその後、5人分のポーカーハンドを配りますが、そこでは現象が起きないので、よほど上手く演じないと、見る方が退屈するかも知れません。

確かマイケル・アマーの「Card miracles」の一巻に似たようなトリックがあったと思いますが、そちらの方が演出面で数等優れていますので(一回目は、ギャンブラーのテクニックで4Aを配るという見せ方)、私が演じるならそちらですね。

8. Time machine
現象/カードを時計の形に並べる。更に中心部にカードを置き、これはミステリーカードだと説明する。好きな位置のカードを覚えてもらい、覚えた時刻の枚数だけトップからカードを取ってポケットに入れてもらう。カードを集め、カットしてから相手が取ったカードをトップに乗せてもらう。もう一度カードを時計の形+中心部に一枚に並べると、選んだ時刻の位置にミステリーカードがあり、覚えたカードが中心部から現れる。

手続きが長い上、現象がちょっと分かりにくい気がします。ロケーションの原理はなかなか面白いのですが、セルフワーキングトリックは、なるべく現象をシンプルに見せた方がいいように思うのは、私だけでしょうか。原理は面白いので、何かに転用できるといいのですが。

9. Open prediction
現象/予言のカードを1枚抜き出しておく。カードを1枚ずつ配っていき、相手がストップをかけたところで止める。一方のパイルから予言のカードの数の枚数だけ配る。3つのパイルができるが、3つのパイルのトップカードは全て予言のカードと同じ数である。

何の事はない、ジェニングスの「Prefiguration」です。一般的なオープンプレディクションと思って演技を見ていたので、背負い投げを食らいました(笑)。これも、観客に対する演技が収められています。女性の太腿をテーブルがわりにしているのも同じです(笑)。

普通のオープンプレディクションを期待して見ると残念ですが、プレフィギュレーションが優れたトリックである事に違いはありません。

10. Match maker
現象/デックをカットし、二つのパイルに分ける。一つのパイルを裏向きで配り、好きなところでストップさせ、ストップがかかったカードを表向きにしておく。その状態で、二つのパイルのトップから同時にカードを配っていくと、表向きのカードの箇所だけでメイトが現れる。更におまじないをかけ、二つのパイルのトップから一枚ずつ表向きに配っていくと、全てがメイトカードである。

ポール・カリーの「Power of thoughts」のようなトリックです。リバースサイクリックスタックを使うので、セットは大変ですが、それに見合う効果のあるトリックだと思います。ネブリングは、この原理を上手く使って、最初に軽いカード当て(メイトカード当て?)みたいなのを入れていますが、これは蛇足のような気もします。上にも書いたように、セルフワーキングは特に、現象を盛り込み過ぎない方がいいように思うのです。

リバースサイクリックを作るのは大変ですが、現象のインパクトは非常に強いので、セットしたデックを準備しておく価値はあると思います。

11. Any two cards
現象/デックを表向きにリボンスプレッドし、二枚のカードを覚えてその二枚の位置を入れ替えてもらう。これは数理的な原理のトリックだと言い、八つの箇所にカードを順番に配って行くが、途中からばらばらの順番になり、最後にはカードをぐちゃぐちゃに混ぜてしまうが、それでも選ばれた二枚のカードを当てる。

ピット・ハートリングの「Chaos」です。ちょっと手続きが長いですが、非常に不可能性が高いカード当てですし、見せ方を工夫すれば面白そうです。こういう「面白いんだけど、ちょっと長いトリック」というのは、演者のキャラクターが非常に問われますね。

ただ、原理には非常に感心するのですが、セットアップがかなり大変です。いくら不可能性が高いとは言っても、たかがカード当てでデック全部セットしたくないというのが正直なところです。マジシャン相手に見せるには、とても効果が高いトリックだと思いますし、この原理は勉強になりますが、レパートリーに入れるのは大変そうです。

12. Unknown
現象/あらかじめ2枚のカードを抜き出しておく。デックから1枚ずつカードを配っていき、好きなところに1枚目をカードを表向きに置く。それをもう一度繰り返す。表向きのカードとその隣のカードを抜き出すと、どちらもメイトカードである。

カール・ファルヴスの「Gemini Twins」です。以前記事でも書いた通り、即興で演じられるセルフワーキングトリックの最高傑作です。これも観客に対して演じる様子が収められています。今回は相手の太腿を使っていません(笑)。

13. Instant reversal
現象/相手に一枚のカードを選ばせ、それをデックの真ん中に戻してもらう。デックを背後に回し、再び前に持って来ると、相手のカードだけが表向きになっている。

入門事典にも載っている、ビル・サイモンのトリック……ではありません。シンプルでクイック。こういうトリックは重宝します。ごく簡単なセットは必要ですが、テクニックがある人ならば、セットなしでもできると思います。おまけに、終わった後にはセットの痕跡は残りません。覚えておきたい小品です。

14. Color change rootine
現象/赤裏のデックを使い、相手にカードを一枚選ばせるが、選んだカードの裏が青く変化し、残りのデックの色も全部青裏になる。が、おまじないをかけると、最初に選んだカードだけが赤裏に戻る。

おまけ的な手順で、ちょっとした技法を使ったカラーチェンジングデックの手順です。スピード感がある手順だとは思うのですが、最後に一枚だけ赤裏に戻してしまうのはどうなんでしょう。全部青裏にして終わった方が、気持ちが良いと思うのは、私だけでしょうか。

ヒンズーシャッフルフォースは、独特の方法を使っています。ネブリングの方法を使っても良いですし、ここは得意な方法に置き換えても良いでしょう。


以上14作品。他にも、簡単な技法もいくつか解説してくれています。解説されている技法は、「Oops force」「Cut deeper force」「Hindu shuffle force」「The Glide」「Double lift」「Houdini color change」(一般に「アードネスチェンジ」と呼ばれているチェンジ技法で、フーディーニ考案と言われています。こんなところはきちんとしているとは(笑))。

値段を考えれば驚くほどのボリュームです。タイトルがいい加減で、クレジットがないのはマイナス材料ですが(アマチュアはYoutubeなどでやりたい放題ですから、プロが率先してそういう事を大事にして欲しいと思います)、いくつかの手順は簡単な上巧妙で、お勧めできる一本です。

セルフワーキングの傑作に、綺麗に騙された時って、技法を使った作品とは違う感動がありますよね。技法を使ったトリックに偏る事なく、セルフワーキングの名作も、一通り抑えておきたいものです。 

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観客視点

ここのところ、引越し準備で忙しくて大変です。土日も色々用事が入っているため、体を休める暇がなかなかありません。引っ越しても落ち着くまではしばらくかかるでしょうね。ちなみに引越しは三月五日です。

ですが荷物が届くのが三月十日なので、それまではウィークリーホテル暮らしです。WiFiは使えるらしいので、妻のiPad miniを使わせてもらおうとは思っているのですが。

ホテルは札幌市の中心部にあり、「メビウス」というマジックショップまで歩いて行ける距離らしいので、引っ越したら一度行ってみようと思っています。

さて、マジックを趣味としている人は、圧倒的に若い子が多いせいでしょうか(なのに、「マジックを趣味にし続けている人」は大変少ないのですが)、時々私には理解できない文章を読んだりする事があります。

その一つは、「レギュラーデックを出したら、『それ手品用トランプだよね』と言われて悔しかった」というもの。

私には、何故悔しいのかが全く分かりません。「その通り、よく知ってますね。じゃあこの手品用トランプでちょっと面白い手品をお見せしましょう」と言えばいいじゃないですか。それとも、あくまで不思議な現象は自分の技術によるものであり、道具に仕掛けがあると思われるのは不本意、という事でしょうか。

だとしたら、手品を趣味にするのは、あまりお勧めできません。技術がストレートに演技の価値に結びつく、楽器でもやった方がいいです(技術だけなら、楽器の方がマジックよりはるかに難しいので、練習のしがいもあります(笑))。

そもそも、高い技術で芸術性を表現する音楽と違い、手品の場合は、どんなに技術を高めたところで、例えば真ん中に入れたカードが一番上に上がっても、その現象に何か芸術的な価値がある訳ではありません。そんなものはただの理不尽現象にすぎません。

ただの理不尽現象にしか過ぎないものに対し、「技術の凄さを認められたい」とは、わがままではありませんか。それに、観客の側からすれば、不思議な現象が起こったのならそれでいいのであって(不思議を楽しんでくれる人の場合ですが)、仕掛けで起こそうが技法で起こそうが、そんなものは演者の都合です。観客には関係ありません。

「トライアンフを、最新の方法で演じたのに、『それこの前も見せてくれたよね』と言われて悲しかった」という発言もどこかで見ましたが、これも同じです。トライアンフをどのような方法で演じようが、観客からの見た目は「一枚カードを選ばせ、デックを表裏ばらばらに混ぜたのに、選んだカードを除いて綺麗に表裏が揃った」なのです。ヴァーノンの原案だろうが、スロップシャッフルを使おうが、ギミックデックを使おうが、観客からの見た目は同じです。

むしろ最新の方法で演じようが、最古の方法で演じようが、技法を使おうが、ギミックを使おうが、観客から同じように見えなければ、その方が問題です(もちろん、不自然な苦しいハンドリングで技法だけでやるより、スムーズにクリーンにギミックを使うのが「観客にとって」上等なのは、言うまでもありません)。

そういう「観客視点」に気付かないと、いたずらに「最新のDVD」ばかりを追い求める結果となりましょう(一般の人には一切見せないから、とにかくマジシャンを騙したい」というのであれば、それでもいいですが、私はそういうのには興味ありません)。

「観客からどう見えているか」「観客はどう感じているか」を、時々でいいから思い出すようにしたいものです。もちろん私自身も。 

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Fooler doolers vol.3 (Daryl)

今日は建国記念の日の代休で、連休です。せっかくの連休なので、二日連続の更新。ダローのシリーズ三巻目です。

稀代の名人ダローの演技は、どれを見ても楽しいものばかりです。自分の演技をより良くするためには、やはりこういう名手の楽しい演技を見なくてはなりません。Youtubeだけでマジックを覚えると、とんでもないものが出来上がります(汗)。

三巻目も楽しいマジックが目白押しです。では行ってみましょう。

Foler doolers vol.3 (Daryl)

1. Peter rabbit hits the big time
現象/うさぎ型と鳥型のスポンジを使ったルーティーン。何もない手からスポンジうさぎとスポンジ鳥を取り出し、うさぎと鳥が入れ替わるというギャグから始めて、移動したり増えたりする。

これは単売されていました。とても楽しいスポンジうさぎの手順です。冒頭のギャグも、わざとらしくやれば感じが悪くなるものですが、ダローは実に自然に、しかも楽しそうに演技をしているので、見ている側も楽しくなります。現象は一般的なスポンジボールのものと同じですが、ダローの見せ方は大いに勉強になる事でしょう。

2. Four dice chink-a-chink
現象/四つのサイコロを使ったチンカチンク。

カップを使う事によりエキストラを使わない、サイコロによるチンカチンクです。コインと違い、サイコロの目が使えますので、移動の際に分かりやすさが増していると思います。テーブルに置いたサイコロをクラシックパームする必要があるので、ちょうどいいサイコロを選ぶ事が必要でしょうが、いい手順だと思います。

3. Follow the leader
現象/十枚の赤いカードと黒いカードを二箇所に分け、それぞれ一枚をリーダーとして前に出しておく。リーダーのカードを入れ替える度に、残りのカードも入れ替わる。最後は赤黒交互に混ぜるが、それでもリーダーの色に従って整列する。

有名なカードトリック、フォローザリーダーです。オチはフォローザリーダーというより、オイルアンドウォーターですが、元々このトリックは、現象が違うだけで原理は同じですからね。

解説でダローは、なんとパスを使った方法もやってくれているのですが、もっとやり易い方法(ホフジンサー式のコントロールを使った方法)も解説してくれていて、そちらの方が疑いなく優れています。また、少ない枚数のパケットだと、チャーリエシャッフルは非常に説得力のあるフォールスシャッフルですね。

4. Three to one ropes
現象/三本の同じ長さのロープを結んで一本にする。息を吹きかけると、なぜか吹きかけていない方の結び目が取れてしまう。反対側に息を吹きかけると、もう一つの結び目も取れてしまう。

仕掛けのないロープでできる、優れたロープトリック。解説では、色違いのロープを使ってくれており、とても分かりやすいです。最初のロープのセットの仕方もちゃんと解説してくれています。息を吹きかけた側ではなく、反対側の結び目が取れてしまうギャグも、手順上ちゃんと考えられているのに感心しました。

ロープ自体には仕掛けはありませんから、ちょうどいい長さのロープを準備して、ぜひやってみたいロープトリックです。

5. The Tenkai pennies
現象/二枚のペニー硬貨(1セント銅貨)を両手に一枚ずつ握るが、それがもう一方の手に移動する。

石田天海によるコイントリック。テンカイピンチ、またはゴッシュマンピンチと呼ばれる技法を使う、かなりクリーンな二枚のコインだけを使うコインズアクロスです。これは結構練習が必要です。テンカイピンチはもちろんですが、タイミングが重要ですね。

日本の硬貨ですと、ペニーと似た大きさなのは一円玉ですが、使うとしたら十円玉か百円玉でしょうか。シンプルですが、インパクトの強いトリックだと思います。

6. Sliding knot
現象/ロープに作った結び目が移動し、最後には取れてしまう。

古典的なロープトリックです。結び目が取れるため、その部分はもちろん準備が必要ですが、面白い現象です。やはり、クラシックトリックが生き残っているのには理由があるんだなあと思わされます。ここで解説されているフォールスノットは、きちんと結んだという錯覚が非常に強く、覚えておきたいですね。

7. Back flip
現象/四枚の青裏のKを使う。おまじないをかける度に、違うマークのKが表になる。最後には全部のKが一度に表向きになり、全部のカードが赤裏に変化し、更に銀裏?に変化する。

前半はツイスティングジエーセズですが、後半は目を見張るような変化現象が二度も起こるため、大変強力なトリックです。前半部で青裏である事が何度も示されるため、後半の驚きは非常に大きいでしょう。ただそのためにもちろんギャフカードが必要です。技法はエルムズレイカウントくらいですが、流れるように演じるには、だいぶ練習がいるでしょうね。

最後には、鏡のような特殊な裏模様のカードに変化しますが、そこは違う裏模様でもいいでしょう。ただし、二回の変化に何らかの理由づけはしないと、単に訳の分からない事が立て続けに起こるだけになってしまう恐れがあるので、そこは注意しましょう。

ギャフを使っているから当然ですが、最後は手渡しできません。こういう、ビジュアル的な効果が大きいマジックは、必ずと言っていいほど「見せろ」と言われたり、予告なく手が伸びて来たりするので、気をつけて演じないといけません。

8. Sack's dice routine
現象/二個のサイコロを使う。二つのサイコロの表裏の合計は14のはずだが、見せる度に両面が同じ数になったり、元に戻ったりする。最後には二つのサイコロの目が一瞬で入れ替わる。

パドルムーブを使ったダイストリック。サイコロの目の配置を上手く利用した、良く考えられた手順です。数が変化するだけなので地味ですが、少し地味で複雑な現象で、上手く観客を楽しませるダローの見せ方はさすがです。手順がちょっと長くて複雑なので、これをそのまま演じるのは大変かも知れません。

9. Bracelet and rope routine
現象/リングにロープを通すが、リングがロープを通り抜けたり、再び入ったりする。

仕掛けのないロープとリングで行えるトリック。コロンビーニが得意そうなトリックだなと思っていたら、解説で「コロンビーニはこのサイズのリングを使っています」なんて言っていました。カード以外のこのような素材を使った、物理的な貫通現象というのは、意外とインパクトがあるものですから、こういうトリックも身につけておきたいところです。

もちろん、ロープとリングより、リング同士の貫通(リンキングリング)の方が見た目に効果が大きいですが、ロープとリングですと、道具に仕掛けが要りません。ロープの研究家としても名高かったダローだけあって、美しく無駄のない手順です。

10. Penetrating matches
現象/両手の親指と人差し指で挟んだ二本のマッチが、貫通したり再び外れたりする。

一般向けのマジック書籍にも載っているようなトリックですが、適切に演じれば非常に効果的である事が、ダローの演技が教えてくれます。ダイスルーティーンの時もそうでしたが、「very expensive」を強調するダローが面白いです。くだらないトリックなどと思わず、ダローの演技に学びましょう。マッチは最近あまり見なくなりましたが、爪楊枝などでも演じられるため、使用頻度は高いと思います。

11. Pyro-maniact
現象/観客から借りたハンカチの真ん中を燃やすが、御呪いをかけて広げると、どこも燃えてはいない。

カール・フォックス考案のトリック。ちょっとした準備は必要ですが、簡単にできて効果の大きい復活トリックです。紙マッチを使いますが、ハンドリングが大変巧妙です。仕掛けの隠し方や処理法も上手く考えられており、さすがカール・フォックスだと思わされます。紙マッチを今ではあまり見ませんが、紙マッチを使える状況であれば、大変実用的なマジックです。

12. Crossed thought
現象/十枚のカードを五枚ずつに分ける。一方のパケットを広げ、相手に心の中だけで一枚を覚えてもらう。そのパケットを相手の手で挟んでもらうが、パケットを確認すると、相手が覚えたカードが消えている。テーブルの上のパケットを広げると、相手が覚えたカードが移動してきている。

カードアクロスですが、心の中で決めたカードが非常にクリーンに移動するので、大変驚きが大きいでしょう。プリンセスカードトリックにカードアクロスを合わせたようなトリックです。

ただ、クリーンにこの現象を実現するため、かなり特殊な印刷のギャフカードを五枚も使わなければならない上、このギャフは簡単に入手できるようなものではありません。確かこれは商品として単売されていたはずで、これを演じようと思ったら、商品を買うしかなさそうです。ギャフのおかげで、技術的には非常に楽です。


以上十二作品。相変わらずダローの演技は楽しく、見ているだけでも面白いです。このシリーズは、カードトリックよりもロープなどの道具を使ったトリックの方が面白いものが多いですから、カードマジックに食傷気味の方は、このシリーズを学んでみると、マジックの幅が広がると思いますよ。 

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Ultimate self working card tricks

最近更新頻度が落ちてしまって、すみません。一月から、午前だけ異動になった(部署兼務になった)上、三月上旬には引っ越すので、今色々と忙しいのです。

引っ越し先は北海道札幌市です。札幌市にはマジックショップがあるようなので、行ってみる予定です。手品サークルがあれば、参加してみたいですね。

では、今回のDVD紹介。ビッグブラインドメディアというメーカーは、セルフワーキング系のDVDに力を入れている印象です。このDVDは三巻組の第一巻。古今のセルフワーキングの名作を集めています。いい作品が多く、お勧めできます。演技、解説は数名のマジシャンが行なっています。実演の前に、考案者の紹介をしているのが好印象です。

では行ってみましょう。

Ultimate lf working card tricks

1. Contact colors (Aldo Colombini)
現象/デックの中から一枚のカードを取り出し、デックの中に表向きに入れておく。相手に一枚のカードを選ばせデックに戻す。デックを二つに分け、二つのパイルから一枚ずつカードを裏向きに配り、表向きのカードが現れたところに選んだカードがある。更に、テーブル上の四つのパイルのトップからAが現れ、更にその下のパイルを開くと、赤黒が綺麗に分かれている。

説明がちょっとややこしいですが、三段構えの鮮やかな現象です。前半の手続きは少し面倒ですが、後半は畳み掛けるように現象が起こるので、退屈にもならないと思います。

最初のカード当ての部分は、「Xマークの探偵」と同様の原理。いわゆるリモートキーカードですね。デックを丸ごとセットする必要がありますが、そこまで厳密なセットではないので、フォールスシャッフルも楽だと思いますし、インパクトがあるトリックなので、セットしておく価値があると思います。

2. Impossible (Mike Austin)
現象/相手にシャッフルしてもらったデックから十枚くらいのカードを取らせ、その中から一枚のカードを選んでもらう。選ばれなかったパケットをシャッフルしデックに戻してから、選ばれたカードをトップに戻す。ボトムの十枚くらいもシャッフルしてもらってトップに戻す。更にデックを好きなだけカットさせる。この状態で相手のカードを当てる。

手続きが面倒ですが、これは要するに、トップの部分もボトムの部分もキーカードにしていませんよ、という証明ですね。恐らく、高木重朗さんの「トランプの不思議」に収録されていた、「スコークのシックなトリック」と同じだと思います。

どちらかと言えば、キーカードの存在を知っているマニア向けのトリックのように思えますが、技法を使わない分、マニアでも引っかかってしまうかも知れません。愛好家の集まりで披露するのにいいでしょう。

3. Shuffling lesson (Chad Long)
現象/デックを二つに分けてもらい、分けたパケットをお互いシャッフルしたり配ったりカットしたりしてよく混ぜる。そのパケットをお互い四つのパイルに配り分けると、演者のパイルのトップからは四枚のK、相手のパイルのトップからは四枚のAが現れる。

古典的な原理を組み合わせていますが、「相手にカードの扱い方を教える」という演出が上手くマッチしており、驚くほど効果があるセルフワーキングトリックです。変にテクニカルなAの取り出しをやるくらいなら、こちらの方がよっぽど受けます。相手がカードを操作した上で奇跡的な一致が起こるというのは、やはり印象も強いですし、相手に花も持たせられます。

考えたのが、技巧派チャド・ロングですが、本当の技巧派は、こういう初歩的な原理も上手く使うものだなあと、感心させられました。

4. Henry sugar (Liam Montier)
現象/相手にデックをシャッフルしてもらい、演者は後ろ向きになる。トップから配って行き、絵札が出る度に演者はそのカードを言い当てる。再びシャッフルしてもらいそれを繰り返す。最後には一枚相手が選んだカードを当ててみせる。

リフルシャッフルの性質を上手く使ったカード当てです。が、一般の方でリフルシャッフルができる方はそう多くないはずなので(プラスチック製トランプならまだしも、紙製デックは難しいでしょう)、そこは演者が自分でやるか、あるいはロゼッタシャッフルを使ってもいいでしょうね。演出次第では、強力な効果があるトリックだと思います。

5. Pre-prefiguration (Larry Jennings / Mark Elsdon)
現象/シャッフルしてもらったデックから、予言のカードを一枚抜き出しておく。表向きにカードを配っていき、好きなどころでストップをかけさせる。二つのパイルの好きな方を選ばせ、そのトップカードを表にする。クラブの6が現れたとすれば、もう一方のパイルから「six of clubs」の綴りに従ってカードを配る。そうして出来た二つのパイルのトップからも6が現れる。予言のカードも6で、フォアオブアカインドが揃う。

ジェニングスの「プレフィギュレーション」の改案です。ただ、綴りで配るより、数字で配る原案の方が、日本では演じやすいような気がします。手順としては原案とほぼ同じです。相手の目の前で堂々とセットアップし、ケースバイケースを上手く使った、一致現象の傑作です。

6. Your ace are marked (Terry Lagerould)
現象/デックをリボンスプレッドし、「裏に印が付けてあれば、簡単にAを探せる」と言い、裏向きのまま四枚をアウトジョグする。そのままデックを表裏ばらばらに混ぜるが、おまじないをかけるとばらばらのはずが全て裏向きに戻り、四枚のAだけが表向きに現れる。

要するにスロップシャッフルを用いたトライアンフ現象なのですが、四枚をアウトジョグするのが素晴らしい工夫です。これにより、表裏を混ぜたという錯覚が非常に強まっています。テーブルが使える状況でないと演じられませんが、これは是非覚えておきたいトリックです。ただ、四枚をアウトジョグする所には、ちゃんと適切な理由付けをしておかないといけません。

スロップシャッフルは、変なフォールスシャッフルより、よっぽど「表裏ばらばらに混ぜた」という説得力がある方法ですから、もっと使われてもいいと思いますね。

7. Shufflebored (Simon Aronson)
現象/表裏をばらばらに混ぜたデックの状態が、数段階に分けて予言されている。

ふじいあきらさんがテレビでも演じた、「ごちゃ混ぜ予言」として有名なトリックです。予言の紙を開く度に新しい予言が出てくるというのは、アリ・ボンゴの方法です。

このシャッフルの方法は、ジョン・バノンの「プレイイットストレート」でも使われていますが、確実に表裏をばらばらに混ぜたという錯覚が非常に強く、絶大なインパクトを与えられます。相手にもよりますが「気持ち悪い!」と絶叫されるほどのパワーのあるトリックです。

三番目の予言「黒いカードは全部スペード」で、一枚だけクラブが混じっていて、四番目の予言で「ただしクラブの2は除く」というオチですが、私自身は最後に特定のフォアオブアカインドが残るような展開にします。その直前に、相手がフォアオブアカインドを見つけるようなトリックをやっておいて、「あなたの予言の方が一枚上でしたね」というような演出です。

何にせよ、結構複雑なセットが必要ですから、気軽には演じられませんが、本格的なショーのトリも務まりますから、覚えておきたいですね。

8. The 7/16 club (Alex Elmsley)
現象/あらかじめ予言を置いておく。相手に7から16の数を選んでもらい、その数に従って二つのパイルを作る。演者と相手がそのパケットを手に取り、一枚ずつ減らしていく。最後に残ったカードを開けると、演者の方がスペードのAで最強のカードである。予言を開くと、「演者がスペードのAで勝利する」と書いてある。

エルムズレイらしい数理トリックです。トリックとしては小品で、ダウンアンダーが好きではない人もいるでしょうが、カードゲームの話でもしながら演じれば、楽しいでしょう。なおこのDVDはイギリスのものですが、発音を聞くとやはり「エルムズレイ」ではなく「エルムズリー」ですね。

9. Impossible (Larry Jennings)
現象/相手に好きな数を決めさせ、その枚数のパイルを三つ作らせる。一つのパイルの上に残りのデックを重ねさせ、残り二つのパイルのうち好きな方のトップカードを覚えさせる。そのパケットをデックに重ね、残りのパイルはよくシャッフルしてデックに重ねる。ここまで演者は後ろを向いている。演者は前に向き直り、今までやった事をおさらいする。デックのトップから「Impossible」の綴りに合わせてカードを配ると、最後に相手のカードが現れる。

手続きが面倒ですが、ラリー・ジェニングスらしくない(?)頭脳派の手順です。別にImpossibleの綴りにこだわらずとも、何枚目にでも配置できるので、色々考えられると思います。

ただ、このやり方を使うなら、わざわざ最初に難しい手続きを踏まなくても、当てられるような気がするんですが……。そこは「当てるのが不可能に見える」という演出にこだわった、という事なんでしょうね。勉強になりますから、やり方は知っておいて損はしないと思います。

10. 4,5,6 (Al Thatcher)
現象/好きなカードを覚えてもらい、そのままデックに戻す。デックを5つのパイルに配り、選んだカードがどのパイルにあるかだけを聞く。そのパケットから相手に一枚ずつ配ってもらうが、マジシャンは突然ストップをかける。そこから相手のカードが現れる。

これは巧妙で不思議です。完全に引っかかりました。システムとかマークトカードでも使うのかと思いきや、何の準備も要りません。解説を見て唸ってしまいました。準備が要らないため、即興トリックとして極めて実用的です。少し慣れは必要ですが、すぐにコツは掴めると思います。

しかも、演者は最初から最後までほとんど後ろを向いて、相手に全部操作させて当てる事すら可能です。知らなければ、かなりのマニアでも上手く引っかかってしまう事でしょう。このDVDの中で、私が一押しのトリック。

それにしても、「4,5,6」とは何とも味気ない名前のトリックです。タイトルの意味は、解説を見て初めて分かったんですが、もうちょっと色気のあるタイトルにした方が、このトリックの魅力が伝わりやすい気がします。

11. Unbelievable (F.Michael Shields / Bascom Jones Jr.)
現象/デックを観客によく混ぜてもらう。ダイヤとクラブ、スペードとハートの二つのパイルに分け、それを演者と観客が一つずつ持つ。演者が表向きに、観客がその上に裏向きにカードを置いていき、テーブルに26のパイルを作ると、全てのパイルがメイトカードのペアになっている。

デック全部を使って、26組のメイトが現れるという凄い現象ですが、当然ながらデックを丸ごとセットしなければなりません。セットの方法も面倒ですから、ちょっと演じにくいかも知れません。

トリック自体は非常にシンプルです。何せ一組を全部セットしているのですから、ある意味当たり前の事が起こっているだけではあるのですが、これもリフルシャッフルの性質を上手に利用しています。リフルシャッフルって、凄く「完全にばらばらになった」と思わせられる混ぜ方ですからね。


以上十一作品です。有名な作品もありますが、現象も多岐に渡っていて、セルフワーキングにありがちな退屈さはありません。ただ、セルフワーキングトリックはやはり、DVDではなく本で読んだ方が分かりやすいかなと思いました。

面白い原理を使っている作品もありますので、マジックの技巧的な部分ではなく、原理の面白さが好きな方には、とても面白いDVDだと思います。私は三巻まで全部持っていますが、私にとっては、マジックは知的遊戯なので、このシリーズはとても面白く鑑賞できました。実用的なレパートリーになる作品も多い、お勧めのシリーズです。 

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On the pass (Richard Kaufman)

今週は週初めからしばらく寒い日が続くようですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私の街下関は、雪がほとんど降らないのですが、今年は例年になく雪が多く降っています。積もりませんけどね。

さて今回のDVD紹介は、前回に続いて技法系です。特に若いカードマジックファンが大好きな、パス(またはシフト)という技法に焦点を当てたもの。さてどんなものでしょうか。

On the pass (Richard Kaufman)

このDVD、前半はひたすら技法の解説です。解説されているのは、クラシックパス、リフルパス、ジグルパス、ハーフジグルパス、クラシックパスフォールスカット、カバーパス、ハーマンパス、ターンノーバーパス、ダブルリフトシフト、ミッドナイトシフト、ハーフパス。

リチャード・カウフマン氏は名手ですが、カウフマン氏をもってしても、「今なんかやったよね?」という感は拭えません。もちろん、パスはミスディレクションが必須ですから、固定カメラで手元だけ撮ったのでは、そうなって当然なのですが。

まあ、YoutubeやTwitterでも、腕自慢と思われるマジックマニアの方々が、パスの動画を色々上げていますが、「上手く隠してるけど、何かもぞもぞしている」気配満点ですからね……。

とにかく、前回ご紹介したアッシャーツイストのように、角度に気をつけて上手にやれば、動作を完全に隠せるというものではなく、どう頑張っても何かやった気配を消せない技法であるという事を、このDVDでは再確認できます。

解説自体はそこまで丁寧という訳ではないのですが、クラシックパスやリフルパスは、カバー法も解説してくれていますから、参考になるかもしれません。パスという技法自体に興味がない私は、「うーん」という感じですが。

いくつか手順も解説されていますので、そちらの紹介も書いていきましょう。

1. False cut ace cutting
現象/デックをカットしたところから次々に4枚のAが現れる。

方法は極めてシンプルで、クラシックパスフォールスカットという技法を使ったエースプロダクションです。このフォールスカットが、難しい分とても自然に見えるなら大変結構なのですが、残念ながら、この技法がそもそもあまり自然に見えないような気がします(汗)。これなら、よくあるフォールスカットでいいような……。

2. A biddling vanish
現象/相手に一枚のカードを選ばせ、選んだカードを含む五枚を渡してもらう。その五枚をデックの中に入れ込むが、一瞬で選んだカード以外が消失する。

ビドルスルー、ビドルアクロス、ビドルトリックなどと呼ばれる作品のバリエーションです。観客役の女性が、しれっと空中リフルシャッフルをしているのに、ちょっと笑ってしまいます。

しかしこれも、パスの箇所がどうにも……。普通のビドルトリックの手順より、特にインパクトが強いと思えませんし、しかも終わった後「残り四枚はどうなったの?」という気持ち悪さがあります。スタンダードなビドルトリックで十分だと思います。

3. Every every where
現象/一枚のカードが、トップから現れたり、ボトムから現れたり、中程から現れたり、ポケットの中から現れたりする。

これもパスの箇所が……。現象はそれなりにインパクトがありますが、そもそもこのような、デックに注目が集まりやすい手順において、パスを使うというのが、ミスマッチとしか思えません。よく、アンビシャスカードにパスを使う人もいますが、同じ理由で正気の沙汰とは思えません(ふじいあきらさんレベルでパスができるなら別ですが)。

4. New cavorting aces
現象/二枚の赤いAをトップに、黒いAをボトムに置くが、それが入れ替わったり、赤いAがトップとボトムに、黒いAが中程に移動したり、それが更に入れ替わったりする。最後には四枚のAが揃ってデックの中程から表向きに現れる。

これも、デックをじっと見られる手順の中でパスを行っています。現象としてはそれなりのインパクトはありますが、あんな怪しい手つきの後に「カードの位置が入れ替わりました」と言われても、「いや、今なんかしたから、そりゃ入れ替わるよね?」となってしまいます。

つまり技法=現象であり、その技法がどうしても怪しさを消す事ができないものですから、とてもやってみたいと思えません。デックではなくパケットを使うとすれば、もっと楽にできそうです。

5. Passing along the vanishing aces
現象/Aが一枚ずつ消失した後、デックの中程から四枚揃って表向きに現れる。

消失にパスを使っているため、これも怪しさが拭いきれません。固定カメラによる映像ではなく、実演を目の前にすれば、もう少し違うのかも知れませんが、これなら、もっと楽に似たような現象を実現できる、エイペックスエーセズの方が遥かに実用的だと思います。


以上五手順ですが、残念ながら「これはパスを使えるようになってでも、是非覚えたい」というものはありません。やはり、パスは他の技法に取って代わられるべくして取って代わられた、古典技法だということがよくわかった気がします。

あるいは、どうしてもパスを使うのであれば、パスという技法は使い所とミスディレクションが本当に大事であるという事も、よく分かりました。このDVDのような、現象に直接的に利用するのは、賢い使い方とは言えません。

私自身はパスを使いませんが(ターンノーバーパス、ハーフパスなら時々使いますけど)、やはりパスは(私のような凡人には)要らない技法である、ということがよく分かったDVDでした。 

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