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トランプの友 知の参(ゆうきとも)

引っ越してしばらく経ち、ようやく新しい部屋や新しい街に、少し慣れてきました。未だにパソコン用の椅子がないので、ブログを立て膝で書かなければいけないのは、相変わらずなのですが(笑)。

仕事が始まるまでには、まだ少しありますから、その間になるべくこちらのブログの記事を書いていこうと思っています。引越し準備中は、なかなかブログを書けませんでしたからね。

という訳で、DVDレビュー。今回はゆうきともさんのシリーズ三回目。三巻目も、演じやすく効果の分かりやすい、素晴らしいトリックばかりです。

トランプの友 知の参(ゆうきとも)

1. デスカレーション
現象/Aから3までの三枚のカードを使う。3には三枚、2には二枚、Aには一枚のカードをそれぞれ乗せてデックの中に混ぜ込むが、一瞬で全部のカードがトップから出てくる。

スリップカット一つで演じられる、大変小気味のいいトリックです。リン・シャールズの「クイックワトソンエーセズ」のバリエーションとも言えますが、シャールズのトリックは四枚のAなのに対し、こちらは三枚で、カードの数値の枚数だけカードを乗せるのですから、分かりやすいのではないかと思います。

Twitterなどでは、いわゆるアンビシャス現象を、カメラの前でしか通じないような難しく直接的な技法で見せるのが、相変わらず流行っているようですが、こういう巧妙で楽な方法も試してみてはいかがでしょうか。

2. ペネトレーション
現象/A、2、3のカードを使ったエレベーターカード。最後は三枚が一度に上がって来る。

「ペネトレーション」は、エレベーターカードをマーローが発表した時の原題です。原案は高木重朗さんの「トランプの不思議」に載っていて、そちらではダブルリフトを使います。その後シークレットアディションによる手順が発表され、そちらの方がスマートに演じられますが、ゆうきさんのバージョンはまたちょっと違います。

アディションの方法が違うのですが、そのため最後の一枚の移動が分かりやすくなった上、三枚一度に上がってくるというオチまで用意されているのです。エレベーターカードというトリックが持つ原理上の面白さ(ワンアヘッドの原理)と、アンビシャスカード的な手法が上手く融合した手順です。

分かりやすく演じやすく、メリハリもついているエレベーターカードの手順で、私がよく演じるお気に入りのトリックです。

3. ダブルサンド
現象/二人の相手に二枚のカードを覚えてもらい、デックに戻す。デックのトップにA、中程に2、ボトムに3のカードを置き、デックを一振りすると、Aと2と3の間に、二人が覚えたカードが挟まれている。

ホフジンサートスを使ったカードキャッチの発展系です。通常は二枚をトップとボトムに置いて相手のカード一枚をサンドイッチするのですが、さらに一枚増やして、三枚で選ばれたカード二枚をコレクター風に挟むものです。

トップとボトムのカード二枚で、選ばれたカード二枚を挟むのはどこかで見た気がしますが、真ん中にもう一枚入れるというのが、プラスアルファの工夫として効果を非常に高めています。コレクター風でもありますが、コレクターはいつの間にか挟まれているのに対し、こちらはデックを投げる事で、物理的に「抜き取った」というように見える効果があり、印象はかなり違います。

それに、何せ直前に三枚のカードが移動するトリックをやっていますから、「三枚のカードが移動して選んだカードを探し出した」という説明に説得力がありますし、前のトリックとの相乗効果で手順全体を引き締めています。ゆうきさんの手順構成は、さすがの一言です。

スプレッドカルという技法は、自然にできれば大変強力な武器になります。この技法も特別講習として、別枠で解説してくれていますから、ゆうきさんの解説でしっかり身に付けるといいでしょう。

4. ひっくり返すカード
現象/デックを半分に分け、表向きに持つ。表向きの一枚だけを真ん中に入れてアウトジョグさせた状態で、そのカードを後ろ手でひっくり返して見せる。更に二度目はカードを二枚にした上、カードを完全に押し込んでしまうが、その状態でも後ろ手でひっくり返してみせる。

マニアは軽視しがちなトリックですが、分かりやすくて優れた効果があるマジックです。マジックではなく、「手先の器用さを見せます」という演出にする事で、逆にマジックとして十分通用しています。こういうパズル的なトリックを合間に入れると、演技にアクセントをつけられると思います。

5. 新・思ったカード
現象/十枚のカードを相手によく混ぜてもらい、心の中でその中の一枚を思ってもらう。そのカードをデックに戻し、演者はデックを後ろ手に持ち、一枚だけカードをひっくり返すが、そのカードが選ばれたカードを見つけてしまう。

マルティプルアウトを上手く使った、読心術風のカード当てです。技法の負担もほとんどなく、マルティプルアウトの部分も、苦しいところがなく自然だと思います。観客の負担を減らすためのゆうきさんの一工夫も、さすが実戦派の方だなあと思わされます。現象の華やかさにだけ目が行くと、そういうところは忘れがちになるんですよね。

こういうトリックは、さらっと見ていたらその良さを見落としがちです。解説でゆうきさんは大事な事を色々言ってくださってますから、じっくり聞いて、更に実演してみましょう。演じてみれば、優れたトリックである事が実感できるはずです。

なお、解説中にヘリコプターが飛んできますので、お見逃しなく(笑)。

6. 新・13の不思議
現象/あらかじめ予言を書いておく。13枚のカードを出し、その中から三枚のカードを表向きに出してもらう。残りはデックに戻す。三枚の表向きのカードの数値に従って、数が13になるようにカードを裏向きに置いて行く。続いて、三枚のカードの数を合計し、その枚数だけカードを裏向きに配る。その枚数目のカードはKであり、予言の紙に書かれている。更に、テーブル上のパケットのトップカードをめくると、全てKである。

解説はややこしいですが、数理的原理を使った古典的なセルフワーキングトリックです。「奇術入門シリーズカードマジック」にも、「13の不思議」として解説されています。

これはこれで、即興でできる優れた数理トリックなのですが、そのトリックを一捻りして、ラストに四枚のKが揃うようにしています。セットは最小限で非常に大きなインパクトがあります。手続きが少々長いので、こういう数理トリックを嫌う人も多いでしょうが、上手く演じれば、十分トリも務まるトリックだと思います。

トリックはもちろんですが、ゆうきさんの「見せ方」や、些細なアドバイスが非常に勉強になります。見逃さないようにしてください。


以上六作品です。今回も、殊更に難しい技法を使う事のない、演じやすく効果的なトリックが揃っていると思います。ゆうきさんの作品集は、単に思いついた作品を並べただけなんて事はなく、実戦で磨き上げられた物ばかりだと思いますので、どれをとっても即戦力にならないものはありません。

是非ともカードを手にとって、実際に演じてみてください。 

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Symphony (Daniel Garcia)

引っ越して時間は結構あるので、引っ越し後最初のDVDレビュー、行ってみます。まだDVDの段ボールはほとんど開けていないので(棚がないので、開けても置き場所がない)、あまり選べないのですが。

このDVDは自分で買ったものではなく、私が当時所属していた、マジッククラブ内のミニコンテストで優勝した賞品として、いただいたものです(と書くと私が上手いみたいに思われそうですが、全然上手くありませんので、誤解なきよう(笑))。

今風の作りのDVDで、収録数は少ないながら、仕掛けのない道具で行える、インパクトの強いトリックが揃っています。洒落たパッケージデザインです。真ん中の楽譜は、ベートーヴェンのピアノソナタ「月光」の第一楽章かな? では始めましょう。

Symphony (Daniel Garcia)

1. TImeline 2.0
現象/一枚のカードの裏にサインさせ、箱に入れておく。相手に一枚のカードを選ばせる。箱を開けると最初に入れたカードは消えており、先ほど選んだカードに、さっき書いてもらったはずのサインがしてある。

ミステリーカード、サインドカードのバリエーションですが、カードケースを使う事で味わいの違うトリックとなっています。カードケースからのカードの抜き取り方法は、大胆ですがよく考えられています。このカードケースの加工方法は、どこかで見たような気がしますが、バーナード・ビリスだったかな?

ケースの加工以外に特別な準備は必要としないので、実用的だと思います。カードの抜き取りにはちょっとコツがいると思いますが、基本的な技法ができれば、難易度も高くはありません。

ただ個人的には、ケースからの消失(移動)現象が入ることで、「さっきからここに置いてあったミステリーカードが、選ばれたカードになっている」という、不条理感が売りの原案のプロットが、ちょっとぼやけている気がして、自分ではやらないと思いますが。

2. .44
現象/四枚のAをテーブルに、4枚のJを手元に置く。一枚だけAとJを入れ替えると、全部が入れ替わる。二度目は一枚だけ入れ替える事をせず、ビジュアルに入れ替わる。

二段構成になっている四枚のカードの入れ替わりです。一段目は、スイッチの動作を自然にさえできればさほど難しくもなく、すぐにレパートリーに入れられるでしょう。そのスイッチ技法ですが、動作自体は難しくないものの、不自然に感じさせないためには要練習です。

二段目はカラーチェンジ的なビジュアルな入れ替わりだけに、ちょっと難しいです。一段目、二段目ともに、使われているスイッチ技法は、ヴィーザーカウント(ヴィーザーコンセプト)で代用が可能ですので、そちらを使ってもいいかも知れません。ジャズエーセズやリセットの後に続けて演じるのに、適したトリックだと思います。

この手の入れ替わりトリックは、単独で演じるよりは、他のトリックに続けるタイプだと思いますので、何種類も覚えておくものでもない気がしますが、この手のトリックの持ち合わせがないならば、覚えておいて損のないやり方だと思いますよ。

3. Jacob's ladder
現象/相手に輪ゴムを指で引っ掛けて持たせる。その輪ゴムを、お札が貫通していく。

非常に考え抜かれたハンドリングに感心しました。お札を使うのに抵抗があれば、適当な大きさの紙があれば出来そうです(割り箸の袋でも出来るかも)。輪ゴムは相手の指にかけさせるため、輪ゴム側には何の仕掛けもありません。

またハンドリングの工夫以外には、仕掛けは最小限です。これはやってみたくなる、実用性の高いトリックだと思います。このDVDの中でも一番必見の手順です。

ちなみにJacob's ladderとは、旧約聖書の創世記に出てくる「ヤコブの梯子」から来ていると思われます(梯子を上り下りするのは、ヤコブではなく天使なんですが)。映画「タイタニック」にも出て来た有名な賛美歌「主よ御許に近づかん」は、このシーンを歌ったものです。豆知識でした。

4. VISA
現象/二枚のクレジットカードが、磁石のように反発し合ったりくっ付いたりする。

シンプルなトリックですが、即興で出来る面白い現象です。ただし、方法自体は簡単ではありますが、それっぽい動きを表現するためには、だいぶ練習がいると思います。トランプでも出来るでしょうが、ある程度重さがあるクレジットカードや免許証の方が、やりやすいかも知れません。

こういうトリックは、大真面目にやれば超能力風の演技になるのでしょうが、それよりは、合間に挟む小ネタとして、冗談めかしてやる方が効果的ではないでしょうか。

5. Void
現象/折り曲げたお札をストローが通り抜ける。最後は観客に持たせたストローをお札が通り抜ける。

お札を鉛筆が貫通する「ミスレッド」の現象を、ストローを用いて仕掛けなしで実現したものです。これも、ストローである事を生かしたハンドリングが非常によく考えられています(鉛筆やボールペンだと、ちょっと難しい気が)。

三段目は、解説を見ると大変馬鹿馬鹿しく、言ってみれば子供騙しのような方法なのですが、二段目までが巧妙で説得力の高い貫通を見せられるため、このやり方は逆に客の盲点となって通用するのでしょう。ガルシアの実戦感覚で作られた手順である事がよく分かります。ただ、意外とこのトリックに適したストローが、あまりないような気も……。


以上五作品。手順のちょっとした工夫で実現している現象が多く、そこがダニエル・ガルシアらしいところです。実戦で磨いた感覚を感じさせます。

一部、カメラのアングルというか撮り方の問題なのか、手元が切れる事があるのは気になりますが、説明はとても分かりやすいです。マジシャン側からの映像もあったり、習得しやすい工夫がされています。どれもテーブルを必要としない手順なので、立って演じる事が多いマジシャンには、即戦力となる手順が多いと思いますよ。 

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時には「凄い」を手放す

引っ越して、まだ荷物は全部開けてはいないものの(マジック関連のDVDは、未だ段ボールの中)、少し生活は落ち着いてきました。

今何が辛いって、パソコン用の椅子がないんですよ。前の椅子がだいぶガタがきていたので、引っ越しの時に捨ててしまったのですが、新しい椅子がまだ届かないのです。なので、この記事も中腰か膝立ちで書くしかないという……(笑)。腰を痛めないように気をつけます。

さて、Twitterでマジック関連のアカウントを色々見てみると、圧倒的に中高生の若い子が多く、いわゆる「凄い」(視覚的効果の大きい)現象や技法が大好きな方々が多いようです。

考えてみればそれも当然の事です。中高生だと、視覚的効果の大きい、派手なマジックで「凄い!」と言ってもらえる事が多いでしょうからね。何せ、自分が中高生の頃を思い起こしてもそんな感じでしたし(その頃マジックはやっていませんでしたが)、スポーツができる男が(派手で目立ってかっこいいと)モテるのが中高生という時代ですから、逆にその方が自然です。

しかし社会に出て、趣味でマジックをやっていると、ビジュアルで派手なマジックをやれば、みんなが「凄い」と言ってくれるかというと、全然そんな事はないのは、趣味でマジックをやっている社会人の方ならご存知の事実な訳でして(笑)。「マジックの現象は、凄い(派手な、ビジュアルな)ものの方がウケる」というのは、アマチュアが陥りがちな罠、誤解であるような気がします(「分からない……」と相手が首を捻っているのがウケている、のなら話は別ですが)。

これは、クロースアップマジックをコミュニケーションであると考えると、至極当たり前の事です。例えば、日常会話で考えてみてください。たとえどんなに体験としては凄いものであっても、それをひたすら自慢話のように聞かされたら、最初は「凄い」と言ってくれても、しまいに聞く方はうんざりしてくるでしょう。

それよりは、体験としてはありきたりのものでも、面白く語ってくれる方が、「凄い」とは言ってもらえなくても、細く長く楽しんでくれるはずです。

だから「凄いマジック」がいけないという事にはならないですし、マジックにはコミュニケーションだけでなく、「芸能」としての側面もありますから(ステージマジックはそうですね)、高度な技能をひたすら追求するのもありとは思うのですが、特にアマチュアのクロースアップマジシャンの場合、マジックの持つコミュニケーション的な側面を忘れ、ただ「凄い」だけを追求すると、中高生のうちは良くても、そのうち続かなくなるのではないかなと、余計な心配をしております。

マジックは確かに不思議の要素がなければなりません。でも、マジックは同時に、人に見せて初めて成立するものです。そして不思議だけど感じが悪い演技よりは、不思議じゃないけど面白い演技の方が、コミュニケーションとしての側面からは上等なのは、言うまでもありません。

別にいつもでなくてもいいので、時には「凄い」を手放すという事も、マジックを趣味として細く長く続けるには、重要な事なのではないでしょうか。 

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引越し&レギュラーデック3つ

随分間が空いてしまいました。三月三日にインターネット回線の撤去工事をして、五日には札幌市へ引越し、昨日ようやく新居に荷物が届きました。それまではウィークリーホテル暮らしで、かなり不便な生活でした。

今でも、引越し荷物を全部開けた訳ではないのですが、iMacを今日設置し、ようやく再び不自由なくインターネットに繋げるようになりましたので、また更新を再開します。

ウィークリーホテルにいる間に、札幌にあるマジックショップ「メビウス」に行ってきました。狸小路商店街の辺りです。かなり分かりにくい場所にあり、知らない人が間違って入る事は絶対にあり得ないでしょう(汗)。

店主と少し話をして、札幌にマジックの同好会のようなものがあるか尋ねましたが、年配のサークルが多く、カードはあまりやっていないのではないか、との答えでした。しばらく自分で探してみます。

そして、札幌駅近くにある東急ハンズにも行きました(三月一杯で閉店し、東急百貨店の中に移転するようです)。レギュラーデックもいくつかありましたが、マジックショップであるメビウスより品揃えが良かったです(笑)。

Bee、タリホーサークルバック、ホイル

なので、レギュラーデックを三つ買いました。Bee、タリホーのサークルバック、それにホイルです。タリホーは以前ずっと使っていましたし(裏模様、スペードA、ジョーカーのデザインが好きなのです)、ホイルも使った事はあるのですが、Beeは初めてです。

道具にはあまりこだわる方ではないのですが、Beeの品質の良さは色々と聞き及ぶところですから、触ってみるのが楽しみです。

落ち着いたら、またDVDレビューも再開しますので、引き続き当ブログをよろしくお願いします。 

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