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ゆうきともさんのレクチャーに行ってきました

前回の記事で書いた通り、プロマジシャンゆうきともさんのワークショップ&レクチャーに参加してきました。場所は、札幌市中央区の、中央区民センターです。行ったことのない場所でしたが、地下鉄東西線の西11丁目駅から降りてすぐのところで、迷わずにたどり着けました。

午前は、少人数でのワークショップ。若い方からベテランの方まで、参加者は色々でした。このワークショップが物凄く濃い内容でした。

メモを取りながら聴きましたが、細かい手順はやはりメモだけでは再現するのが難しいです(笑)。ですが、「フォーカス」という概念を伴ったカードやコインの示し方は、凄く勉強になりました。これは心に刻んで意識します。

カードでは、カード当て、Do as I doの手順に、見事に引っかかってしまい、思わず声が出てしまいました。しかも原理はシンプル。シンプルな原理にやられてしまった時ほど楽しい事はありません(笑)。この手順は、研究して自分のものにできればと思います。

その後は、ツイスティングジエーセズとジャンピングジェミニ。ジャンピングジェミニは、自分ではとても演じてみたいとは思えないトリックだったのですが、今回フラッシュカウントという技法を教えていただき、ゆうきさん流のアレンジが加わった今日の手順なら、演じてみたい気がしてきました。

とにかく、午前のワークショップは、初公開のカード当て&Do as I do手順と、フラッシュカウントを学べただけでも、参加した価値がありました。

午後の部その1は、20人くらいでクロースアップからサロンでも使える、比較的基本的なトリックの見せ方に関するレクチャー。この中ではロープマジックが一番気に入りました。是非やってみたいですね。

とは言え、メモだけを参考に手順を追うのは困難なので、monthly magic lessonの初期で解説されているらしいですし、これは買ってみようかなとも思っています。

また、コインマジックをやる人なら大抵誰でも知っている「セブンペニートリック」の見せ方も、大変勉強になりました。このトリックは、簡単でありながら超強力で、私ももちろん愛用しているのですが、細かなコツや最後のコインの出し方など、今度演じる時には是非心がけてみます。

午後の部その2は、クロースアップマジックのルーティーン構成について、最初に20分の演技があり、その後に解説。このパートでは、「世界一ずぼらで角度に強いコインアセンブリー」の手順に感動。これはやってみたくなる手順です。また、ピックアップムーブについての考察には、目から鱗が落ちる思いでした。

それと今回、北海道のマジック愛好家の方々とも色々交流できたのですが、非常に楽しくお話ができました。久しくこんなマニアックなマジック話はしていませんでしたからね。

コインがお得意な方(マジックバー「ツイスター」で演じられてる方だそうです)に、目の前で色々見せていただきましたが、私には到底真似のできないような技ばかりで、度肝を抜かれました。コインは、上手い人は本当に凄いですね。

そして、別の方に私が持参したコパッグ310をお渡しし、「このデックはファローがとても入りにくいんです」と言ったら、その方はパーフェクトファローを使う手順を愛用しているそうで、ファローシャッフルにはかなり慣れているらしく、コパッグ310でバック側から綺麗にファローシャッフルを決めました。これには、マジックより驚きました(笑)。そんな訳で、久々にマジック尽くしのとても楽しい1日でした。

なお、会場で物販もしていたので、レクチャーノートを2冊購入しました。1冊はレストランマジック研究所のコロンビーニの作品集「Baroque cards」。これは欲しいと思っていたので、見つけて即書いました。この冊子、いい手順が多いですよ。以前ご紹介した「Baroque compositions」は、この冊子から抜粋した手順のDVDなのです。

もう1冊は、参加者のお一人、Izumiさんの「Lots of R&B」という作品集。マジックマーケットというイベントで販売したんだそうです。色違いのカードを使う事にこだわった、なかなかにマニアックなトリック集のようです。じっくり読んで、そのうち「Baroque cards」共々、紹介記事を書ければ。またIzumiさんのブログを見つけました。こちらもじっくり読んでみようと思っています。

今日色々な愛好家の方々と交流し、私も、自分の作品を形にまとめてみてもいいかなと思い始めました。と言っても、既存の手順を自分なりに焼き直したものくらいしかありませんが、少しくらいは「作品を創作する」という事をやってみてもいいかなと感じさせられた次第です。

180826ゆうきともさんのサイン

そして、ゆうきともさんの著書「メンタルマジックで奇跡を起こす本」(この本はとてもいい本です!)と、DVD「トランプの友 知の五」にサインをしていただきました。写真も一緒に撮っていただき、大変いい記念になりました。

私は愛好家の前でトリックを演じる事はありませんが、愛好家の方々と交流すると、凄く刺激をいただけますね。ともあれ、ゆうきともさんや、企画者の皆様、参加者の皆様、お疲れ様でした&ありがとうございました。またこんな機会があれば、是非参加してみたいです。 

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ゆうきともさんのワークショップ&レクチャーに参加します

今度の日曜日、札幌市の中央区民センターで、プロマジシャンゆうきともさんのクロースアップマジックワークショップ&レクチャーが行われるので、参加してきます。

プロマジシャンのレクチャーは、以前に故小川心平さんのレクチャーに参加した事があって、この時も大変楽しかったので、今回も非常に楽しみです。なにせ、ゆうきともさんは私が大好きなマジシャンです。

プロマジシャンのレクチャーって、手順よりも、そのマジシャンの所作とか、何気無い言い回しとか、デックの扱い方とか、醸し出す雰囲気とか、トリック以外の部分が、見ていて「さすがプロ!」と思わせられるのですね。トリックだけならDVDでも本でも学べますが、そういうのは生でしか体験できないものですから。

ゆうきともさんは、手順構成の賢さは言うまでもない事ですが、「一見不合理に思える手順に、きちんと演出上の理由付けをし、合理的にした上、エンターテインメント性も高める」という点において、私は世界一と言っても過言ではない才能を持っていると思います。

以前書いた、「オイルアンドクイーンズ」にしてもそうですし、カラーチェンジングトライアンフも、ゆうきさん流のアレンジが冴え渡っている例です。

トライアンフ現象の後に、バックの色が変化してしまうという、複合現象のこのトリック。ほとんどの人が、裏模様の変化に対して何ら理由付けをしないため、「ただ理不尽な現象が連続しているだけの、意味の分からないトリック」になってしまっているのですが(トリックの構成的に、トライアンフというトリックのプロットを無視して、ただ現象を追加しているだけなので、当たり前ですが)、ゆうきさんの見せ方は一味も二味も違います。

最初のトライアンフ現象の後、「なぜこう簡単に当てる事ができるかというと、裏模様にはっきりマークがつけてあるからなのです」と言って伏線を張っておいてから、残りのデックを裏向きにリボンスプレッドし、「この通り、2枚だけ他のカードと違う目印が付いているのが、お分かりですね?」という具合に演じています。

また、「ヴィジター」の改案「最後の訪問者」では、カードをアディションする際の枚数の違いや、パケットをテーブルに表向きに置くか裏向きに置くかという、普通の人なら見逃すような手順の改良により、パケットの持ち替えが相手の目に気にならなくうつるという、非常に優れた改案です。

このように、一見非合理に見える手順や、単なる理不尽現象の連続になってしまっている訳の分からないトリックに、きちんと意味合いを持たせる演出。私はこれこそが「ゆうきタッチ」の真髄なのではないかと思っているのです。

また、バーマジシャンにありがちな、単に体を大げさに動かすという、「見て欲しくないところから目を逸らさせようとする」強引なミスディレクションではなく、むしろ「一番見て欲しいところに、適切に観客のフォーカスを集める」という、無理のないディレクションコントロールも、並みのマジシャンの追随を許しません。

日曜日は、目の前でそのゆうきタッチを味わえると思うと、わくわくが止まりません。もちろん、私にゆうきさんの真似ができるはずもないのですが、演技のエッセンスの一滴でも取り入れる事ができれば、少しは私の演技も進歩できるかもしれません。

上にも書いた通り、トリックそのものよりも、他のマジシャンでは味わえない、ゆうきタッチのエッセンス。これを味わえるのが本当に楽しみなのです。

当日のレポートは、書ける範囲で書いてみる予定ですので、期待せずにお待ちください。 

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Effortless effects (Ryan Schultz)

最近、久々に新しいDVDを書いました。もう多分、カードのDVDは要らないかな、買うなら歴史的巨匠だけかなと思っていたんですが。ライアン・シュルツの「Super strong Super simple」です。

「ライアン・シュルツ」で検索すると、何やらアメリカで、女の子がそういう名前の野球ジャーナリストになりすましていたとか、そういうニュースばかり出て来るんですが(笑)、シュルツは私の好きなマジシャンの一人。もちろん上手いんですが、あまりテクニックを全面に出さず、賢い手順構成、巧妙なサトルティによって、思いもよらぬ現象を起こす名人です。

「Super strong Super simple」も大変満足できるDVDで、そのうちご紹介しますが、今回は、そんなシュルツの別のDVD「Effortless effects」をご紹介です。タイトルの通り、少しの工夫で大きな成果をあげている作品ばかり。

このDVDを出している「Big blind media」というメーカーは、セルフワーキングものを中心に、割と演じやすいカードマジックのDVDを色々出していて、最近では要チェックのメーカーです。では始めましょう。

Effortless effects (Ryan Schultz)

1. Clearly see thru
現象/1枚のカードを選ばせてデックに戻す。演者は「見えないカード」を1枚抜き出し、それが選ばれたカードだと言う。デックを確認すると、確かに選ばれたカードがない。演者は、見えないカードを見て選ばれたカードの名前を宣言し、それを「裏向きに」デックに戻す。デックをリボンスプレッドすると、1枚だけ裏向きのカードがあり、それが確かに選ばれたカードである。

ジョン・キャリーの「24 Seven vol.2」で解説されていた、「An impossible conclusion」とプロットが近いトリック。最初のカードの選ばせ方がフェアで、マジシャンが見ても不可能に見えます。そのためにカードに1枚加工が必要ですが、大した加工ではないので、この程度なら常に1枚デックに忍ばせておいてもいいでしょう。手順が大変賢く、コントロールも難しい方法を使わずに、手順の中で自然にやってしまっているのが、実に巧妙です。

実は、加工したカードがなくても、普通の選ばせ方、普通のコントロール法で、「見えないカードを抜き出し、言い当ててからそのカードを見えるように再現する」という現象自体は再現できてしまいます。一般の方に演じるなら、それでも十分効果的だと思いますが、このカードの選ばせ方の原理は、知っておいて損はありません。

なお「Advanced」というバージョンも解説されていますが、個人的には前半のやり方の方が魅力的だと思います。ちなみに解説の時の聞き手は、リアム・モンティエですね。

2. No hassle Hof
現象/4枚のAを抜き出しておき、相手に数枚のカードを選ばせ、その中で一番数値の高いカードを覚えさせる。4枚のAを相手の手に挟ませてから広げると、1枚だけ裏向きになっている。裏向きになっているのは選んだカードと同じマークであり、表を確認すると選ばれたカードになっている。

いわゆる、ホフジンサーエースプロブレムの解の一つ。私は、ホフジンサープロブレム自体に魅力を感じないのですが、何故かこの手順は昔からいろんな人が発表しています。クリエイター魂を刺激する何かがあるのかも知れません。

このトリックも、最初のカードの選ばせ方がなかなか巧妙です。ただ、4枚のAを無意味にデックに乗せるのが、ちょっと気になります。まあ、この手のトリックに共通した弱点ですし、そこは気にしない方がいいのかも知れませんが。しかし、相手のカードをコントロールする手法は、やはり技法を使わず、手順の中に上手く埋め込んでいる辺りは流石です。相手の手にAを挟ませる時の細かな工夫も、効いています。

「Advanced」では、スプレッドカルを使った手法を解説してくれていますが、これも前半の手法で十分だと思います。

3. Split decision
現象/相手に1枚カードを選ばせ、デックに戻す。演者はデックを相手に広げ、相手の反応を見ながらカードを当ててしまう。演者は一度もデックの表を見ない。

かなり不可能性が高いカード当て。カードの選ばせ方も自由ですし、何せその後デックをリフルシャッフルしてしまうのですから。その分、「Clearly see Thru」同様のカードの加工は必要です。

言ってみればキーカードなのですが、原理と仕掛けを大変巧妙に組み合わせている上、何せマジシャンは一度もフェイスを見ないのです。これはマジシャンでもなかなか追えないでしょう。こんな使われ方をしたら、到底キーカードとは思えません。この原理は知っておくべきです。このトリックを直接レパートリーに入れなくても、この作品の考え方は既存のトリックに大いに活かせるはずです。

4. Wrongly convinced
現象/1枚のカードを選ばせてデックに戻す。演者は、デックの表を相手に向けたまま、数枚のカードを選ぶ。その中には選ばれたカードはないが、そのパケットの中から1枚を相手に選ばせる。それが選ばれたカードである。

やはり仕掛けのあるカードを使いますし、選ばせ方もこれまでのトリック同様です。ここで解説されている、特殊なアドオン技法も大変勉強になります。普通ならシークレットアディションでやるところですが、こんなやり方をされると、手がかりすら掴めません。この技法は、別トラックで詳述してくれています。

また、最後のカードの選ばせ方も賢いですね。ハード過ぎない技法と心理的策略、それにちょっとした仕掛けを上手くミックスし、非常に不可能性の高いトリックとなっています。なおこのトリックは、単純なバージョンと難しいバージョンも解説してくれています。難しいと言っても、普通の技法しか使わず、仕掛けを使わなくなりますので、人によってはこちらの方が実用的かも知れません。

5. Forget to remember
現象/1枚のカードを選ばせるが、マークが同じで違う数値のカードを心に思ってもらう。相手にデックから相手のカードを抜き出してもらおうとするが、デックの中に選ばれたカードはない。カードケースの中に1枚のカードがあり、それが選ばれたカードである。

ここからは聞き手がジェームズ・ウェントになっています。マルティプルアウトですね。上の現象説明は一例なのですが、マルティプルアウトに無理がなく、どのアウトでも強烈に不思議だと思います。カードケースからカードを取り出す時の工夫は、勉強になります。

ただ、マークが同じで違う数値のカードに変えてもらうところは、何故そんな事をしないといけないのかを、明確に表現しないといけないでしょうね。

6. Fish sandwich
現象/デックを2つのパイルに分けさせ、どちらかのパイルに2枚のKを表向きに入れさせ、2つのパイルをリフルシャッフルすると、2枚のKの間に数枚のカードが挟まっている。演者はその数枚のカードの中にどんなカードがあるか言い当て、最後に残った1枚はカードの名前をずばり言い当ててみせる。

ちょっと手順が複雑ですが、前半は別にトリックとしては必要という訳ではないので、そこは臨機応変でもいいでしょう。相手にリフルシャッフルをさせるのが大変です。そういう時はロゼッタシャッフルを使うか、演者がリフルシャッフルして、相手に押し込ませればいいでしょう。

後半は、運が悪いと似たカードが多かったり、同じ色やマークのカードばかりで当てにくいかも知れません。ちょっとメンタル的なやり方に慣れる必要があるでしょうね。そこさえ何とかなれば、手先の技法としては難しい事は何もなく、インパクトもあります。

7. Needs a name
現象/数枚のカードを取ってもらい、その中の1枚を心に思ってもらう。一切質問せずに、そのカードを当てる。

原理としては、「Clearly see thru」同様と思いきや、このやり方では仕掛けが必要ありません。そのため、当てる時は表を確認する必要がありますが、何せ相手はカードを心に思っただけなので、かなり不思議に見える事でしょう。最も基本的な原理なのに、こんなやり方をされると全く分からなくなってしまうでしょう。

もちろん、カードに仕掛けを作るならば、裏向きで当てる事も可能です。このやり方は、ぜひ思えておくべきです。

8. The GAP principle
このDVDの複数の手順で使われている、カードにとある仕掛けを作り、非常にクリーンにカードを選ばせたように見せながら、実に賢い方法で選ばれたカードを知ったりコントロールしたりできる方法を詳しく解説しています。「GAP」とは、「Grab A Pile」の略だそうで、方法そのままですね。ただ、Principle(原理)ではなく、Method(手法)であるような気もしますが、まあ気にしないようにしましょう(笑)。

カードにちょっとした仕掛けを作る必要がありますが、本当にちょっとした加工ですし、他のトリックを邪魔する事もありませんから、この仕掛けを施したカードを、常時デックに入れておいても何の問題もありません。メンタルトリックに幅広く応用が利く、優れた手法です。この方法を使えば、既存のトリックの不思議さも大幅に増すと思います。ぜひ覚えましょう。



以上7トリック+1手法です。手順によっては、より簡単な方法や、より上級者向けの方法を解説してくれていたり、詳しい解説の後、手順をざっと通す解説をしてくれていたり、丁寧な作りです。カメラワークが妙に凝っているのも現代的ですね。

ビジュアルで派手なトリックはないのですが、その分知識のあるマジシャンでも追えないような、優れた手法のトリックばかりです。ジョン・キャリーやアルド・コロンビーニとはまた違う、「少ない労力、自然な見た目で大きな成果を生み出す」タイプのライアン・シュルツの作品に、どうぞ触れてみてください。 

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Copag 310 (Cartamundi)

先日、新しいデックを買いましたので、ちょっとご紹介です。

買ったのは、ベルギーCartamundi(カルタムンディ)社の、「コパッグ310」。私は元々、U.S.プレイングカード社のデックはそれほど好きではなく、カルタムンディの「ナビゲーター」というデックを気に入ってずっと使っていたので、このデックは出た当初から気になっていたのです。

マジックをやる人にはU.S.プレイングカード社が何と言っても有名ですが、実はカルタムンディの方が会社の規模は大きく、世界最大のカードメーカーらしいですよ。

カルタムンディの「ナビゲーター」というデックの特徴は、独特の表面コーティングと、コーナーの処理。コーナーがちょっと直線的なのです。そして、ファローシャッフルが非常に入りにくいのですね。私はファローシャッフルを使う手順なんてやらないから、あまり気にならないのですが。

コパッグ310 (1)

これが外観です。USPCの標準的なデックと同じく、裏面はカードの裏と同じ模様です。これを利用するトリックもあったりするので、このデザインは嬉しいですね。カルタムンディのデックらしく、箱だけでなく、箱の中のデックそのものもセロファンで包まれています。

コパッグ310 (2)

バイスクルとまず違うのは、箱を開ける切り込みの部分。バイスクルに比べると、ここがかなり小さいです。慣れないと面食らうかも知れません。また、この切り込みが小さいため、1枚だけカードを切込みから外に出して抜き取る、というようなやり方はやりにくくなっています。まあ、気になればカッターで切ればいいだけなので、問題はないでしょう。

コパッグ310 (3)

そして、持った時すぐに気づくのは、「厚さ」です。バイスクルと比べても明らかに厚いです。カード1枚を単体で持った時は全然気になりませんが(当たり前か)、箱を持つと「なんか厚いな」と分かると思います。バイスクルより薄いスーペリアと比べると、一回りも厚い印象です。これも、だからどうしたというレベルの話ですが。

コパッグ310 (4)

広げてみると、こんな感じ。ダブルバックとブランクフェイスが1枚ずつ入っていて、これは重宝しそうです。ジョーカーは同じデザインのものが2枚。絵札は色使いが独特。Aはシンプルなデザイン。これらのデザインは、コパッグのプラスチックデックと共通です。私は、ジョーカーが単なる幾何学模様(星とか丸とか)のデザインは好きではなく、ジョーカーはやはり道化師(=ジョーカー)を描いたものであって欲しいので、このジョーカーデザインは好みです。

コパッグ310 (5)

コーナーはナビゲーターと違い、綺麗な曲線になっています。これなら、コーナーショートカードも作りやすいですね。ナビゲーターでは、コーナーショートが作りにくかったですから、これは嬉しい改良点です。ナビゲーターのコーナーも、コパッグと同じにしてもらえると嬉しいのですが。

そして裏模様ですが、USPCのデックのような酷い印刷ずれはなく、大変安定しています(ナビゲーターも、印刷は非常に安定してました)。これはいくつかデックを使ってみないと分かりませんが、USPCのデックは、ロットによっては本当にずれが酷いですからね。

触った感じですが、エンボスの加工がバイスクルと違い、触っただけで「ああカルタムンディのデックだ」とすぐにわかります。ただ、表面のコーティングはナビゲーターのちょっとぺたぺたした感じと違い、バイスクルに近い感触です。個人的には、ナビゲーターの感触の方が好きですね。

ファローシャッフルはやはり入りません。フェイス側からなら入りますが、それでもバイスクルほど綺麗には入らないですね。まあ、ナビゲーターはフェイス側からもファローが入らなかったような記憶がありますので、進歩という事にしましょう(?)。

そしてこのデックで特筆すべきは、カルタムンディから直々に、実にお買い得な価格でギャフカードのセットも出ている事。何せこのセット1つで、アルティメットスリーカードモンテ、Bウェーブ、それにマクドナルドエーセズが可能になるのです。それでいてお値段は破格の980円!(この3つは単体で買っても、このセットより高いです)

タリホーのギャフアソートメントが、サークルバックとファンバックのダブルバックとか、タリホーとバイスクルのダブルバックとか、「こんなの何に使えと?」という意味不明なものばかりだったのに比べて、実にマジシャンの事を考えてくれているなと思いました(まあタリホーはAとジョーカーと裏模様以外はバイスクルと同じなので、基本的なダブルフェイスはバイスクルのギャフを使えばいいんですが、それにしても何とかならなかったものか)。

各種技法も全然問題ありません。腰が強くてよくしなるカードで、扱いやすいでしょう。ナビゲーターはちょっと癖があるデックですが、こちらならバイスクルに慣れた人も問題なく扱えると思います。興味のある方は、手に入れてみてください。何より、メーカー直々に作った、格安&高内容のギャフアソートメントデックが、本当に価値が高いと思いますよ。 

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カードマジック最初の1冊

先ほど、Facebookを確認したら、私が入っている「北海道マジック情報」というグループで、耳寄りな情報が入ってきました。なんと近々、札幌でゆうきともさんのレクチャーがあるらしいです。

ゆうきともさんは、日本人のマジシャンでは私が一番好きな方です。上手いのはもちろんですが、心理の盲点を巧みにつくようなサトルティの利用方法、ハンドリングの細かいところまで練り上げられた工夫、そして何より、マジックとは知的好奇心を刺激してくれる遊びだと思っている私にとって、氏のマジックは、現象でも解説でも楽しませてくれるのです。

妻のおうかがいを立てないといけませんが、可能であれば是非参加してみたいなと思っています。こちらのマジック愛好家の方とお知り合いになれるかも知れませんし。

さて、今日の話題は「カードマジックを始める時、最初に1冊だけ買うとしたら?」です。私自身は東京堂の「奇術入門シリーズ カードマジック」を最初に買いましたし、今でもこの選択肢は正解だったと思っていますが、皆さんがもし、カードマジックをやってみたいという人の最初の1冊を選ぶとしたら、何でしょうか?

1冊でなくていいなら、私の答えは決まっています。Mr.マリックが主宰している「ジャパンカーディシャンズスクール」の教科書全4巻です。ジョビーのカードカレッジを勧める人もありますが、同じ4冊買うなら、内容的にも値段的にも絶対にこちらです(カードカレッジも、もちろん優れた書籍ですよ。念のため)。

Mr.マリックの名前がついていますが、マリックさんは監修で、書いたのは加藤英夫さんです。ですから、内容に間違いがあるはずはありません。そして、全4巻写真をふんだんに使ったフルカラー。全4冊がそれぞれ13課のレッスンにわかれていて、合計52課。1課を一週間でこなせば、1年で全部終わる計算です(とは言え、後半は一課を一週間では到底無理だと思いますが)。

また、内容が実にいいです。最初の方は、カードの持ち方や配り方、ひっくり返し方から始まって(ここを詳しく説明している本って案外ないですよね)、技法だけでなく、いろいろな原理も織り交ぜながら、少しずつ高度な内容に進んでいます。

「高度」とは技法の難易度だけではありません。小学コース(1巻)では、相手とのやり取りがないマジックを学び、中学コース(2巻)では、1人の相手に見せるマジック、高校コース(3巻)では、数人の相手に見せるマジック、そして大学コース(4巻)では、多くの相手に見せるマジックと、「見せ方」もだんだん高度になっていくのです。ここまで配慮された教本は、他にありません。

学べる事は、単に手先の技法だけでなく、エスティメイションやサイレントカウントと言った、目と頭を使う技法や、フリーカットの原理、ギルブレスの原理といった、カード奇術をやるならば知っておかねばならない有名な原理もあります。セルフワーキングの傑作も、結構解説されています。

収録作品も、「アンビシャスカード」「トライアンフ」「ツイスティングジエーセズ」「レッドホットママ」といった定番を始め、加藤さんの代表作「カードハプニング」も入っています。定番でありながら入っていない作品もありますし、解説されているコリンズエーセズ(確か「消えて現れるフォーエース」というタイトルだったか)の最後のフォースの手順はいかがなものかと思いますが、それにしてもいい作品が揃っています。ここに入っている作品で、今でも私のレパートリーになっている作品は数多いです(名作「ジェミニツインズ」は、この本で覚えました)。

私が買った頃は、演技CD(DVDにあらず)がついて、全4巻で12,000円くらいしましたが、今は解説は動画で、4巻で5,000円くらいです。12,000円だとちょっと手を出しにくいですが、5,000円ならばかなりハードルが下がります。この本、あまり話題になっていないのですが、「カードカレッジ」全4巻や、「ラリー・ジェニングスのカードマジック入門」よりも、断然お勧めします。

この本、以前弟に貸してそれっきりになってしまい、私の手元にはないのですが、5,000円ならばもう一度買ってもいいかなと思っているくらいです(ですから、ある程度の経験者にも非常にお勧めです。基礎をしっかり見直せます)。一般書店で買える本ではないのが残念ですが、是非読んでみてください。

で、結局「カードマジックを始める時、最初に1冊だけ買うとしたら?」というテーマから外れてしまいましたね(笑)。もちろん「奇術入門シリーズ カードマジック」でいいのですが、この本もあまり見やすいとは言えず、結構根性が要ります。前半は技法がいらないカードマジックですので、そこである程度慣れる事ができますが、全くの初心者には辛いでしょう(私はこの本の解説では「トライアンフ」は習得できませんでした)。

なので、先のJCS教科書の準備編とも言える、「Mr.マリックの超カードマジック」です。こちらは一般書籍です。ほぼセルフワーキングですが、何故か最後の方では、JCS教科書では高校コースに入っているエルムズレイカウントが入っていたりします(こんなのが初心者にできるとは思えないですが)。

DVD付きで、DVDで解説も演技も見る事ができます。収録作も、簡単で効果的なものが多く、お勧めです。ただし「マルティプルシフト」として解説されている技法は、マルティプルシフトではなく、ヴァーノンのストリップアウトアディションのような気がしますが……。この本を見て、気に入ったらJCS教科書に進むのもありでしょう。

そのうち、「奇術入門シリーズ カードマジック」について、じっくり書いてみようとも思っています。Youtubeでマジックを覚えるという人もいるでしょうが、やはり本からじゃないと伝わらないということも多いものですよ。たまには、じっくり本を読んでみるのもいいんじゃないでしょうか。 

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Double take (Gregory Wilson)

札幌は、もうだいぶ気温が下がってきました。朝は20℃に満たない事もあります。数日暑い日もありましたが、もしかしてもう夏が通り過ぎてしまったのではないかとすら思わせます。

そう言えば9月の頭に、札幌のマジックバー「トリック」にて、山口県出身のマジシャン、まんぼうさんとジョニオさんのレクチャー&ショーがあるそうです。ジョニオさんとはお会いした事がないですが、まんぼうさんとは、所属していた山口マジシャンズチーム「レア」でお会いした事があります。ちょっと行ってみたい気がしています。

では、DVDレビュー。新作DVDがどんどん出る中、お構いなしに古いDVDを紹介するのが私流です。

Double take (Gregory Wilson)

このDVDは、カード技法の中でも最重要なものの一つ、ダブルリフトに焦点を当てています。解説はグレゴリー・ウィルソン。技法解説も多いですが、トリックも結構たくさん入っていますので、それをご紹介します。ウィルソンの英語は早口で聞き取りにくいですが、まあ要所が聞き取れれば分かる範囲でしょう。

1. A simple location
現象/1枚のカードを選ばせてデックに戻す。トップカードは選ばれたカードではない。そのトップカードを好きなところに差し込んでもらう。差し込んだ上のカードも下のカードも選ばれたカードではない。が、差し込んだカードがいつの間にか選ばれたカードになっている。

シンプルですが、いつの間にかカードが変化するという、かなりパワフルなトリックです。ジェニングスの「エスティメイテッドトス」風ですが、ジェニングスがかなり力技の技法を使ったのに対し、実に楽に解決しています。

ダブルリフトで表を見せ、そのカードが変化するというのは、様々なやり方があり、もちろんビジュアルに変化させる方法(ヒットメソッドとかツイストチェンジとか)もありますが、こういう不条理さを感じさせる方法の方が、ビジュアルな方法よりも時にインパクトがあったりします。私もお気に入りのトリックです。

2. A simple reverse
現象/1枚のカードを選ばせてデックに戻す。トップカードは選ばれたカードではない。ボトムカードも選ばれたカードではない。ところがデックを広げると1枚だけ裏向きのカードがあり、それが選ばれたカードである。

これまたシンプルなリバーストリック。技法はコントロールとダブルリフトだけです。マニアならば、別に解説を見なくても容易に追えるでしょう。でも、「何か見せて」と言われた時、さらっと演じられて重宝するのは、実はこういうシンプルなトリックだったりします。

ウィルソンも非常にさらっと演じていますが、シンプルなトリックだけに、マジカルジェスチャーのタイミングなど、演じかたには工夫をした方がいいと思います。これもお気に入りのトリックです。

3. A simple switch
現象/2枚のカードが入れ替わる。

シンプル極まりない入れ替わり(トランスポジション)のトリックですが、このシンプルな入れ替わりを無理なく構成しようとすると、意外と難しいものです。デュプリケートを使えば簡単なのですが。

デュプリケートを使わないこのトリックの源流は、おそらくジーン・ヒューガードの「インビジブルトランシット」ではないかと思われます。これも単純ですが馬鹿にできない効果があります。なおウィルソンは、冒頭3つのシンプルなトリックでは、あえて一番初歩的なダブルリフトを使っていますが、堂々とやるとこれでも立派に通用するんだなというのが分かります。

4. Phoenix aces
現象/空中から次々と4枚のAを取り出す。

ステージのカードマニピュレーションを思わせる華麗なプロダクショントリック。これは難しいです。パーム自体は手の大きさはあまり関係ないですが、これはある程度の手の大きさが必要な気がします。なんかあまりダブルリフトが関係ないような気もしますが(笑)。

5. Weighted aces
現象/スペードのAを上に、クラブのAを下にして、観客の手の上に乗せるが、いつの間にか2枚の場所が入れ替わる。もう一度同じようにするが、今度は2枚の黒いAが2枚の赤いAになっている。

デイリーのラストトリックのバリエーションです。前半で2枚の入れ替わりを入れています。重さの演出は、ダローも取り入れていたような気がしますね。ラストトリックは、原案通りの一段で終わらせてももちろん効果的で、変にいじると蛇足になる事が多いのですが(そういう改案も多い)、この改案は原案の良さを生かしつつ現象を広げた、悪くない改案だと思います。

「重いカードが下に下がる」という演出を入れる事で、原案の「相手の裏をかく」という見せ方が強調されているような気がします。私も愛用している手順です。

6. Two wrongs makes a right
現象/1枚のカードを選ばせる。デックのトップカードは選ばれたカードではない。それをテーブルに置き、今度はボトムカードを見せるが、それも選ばれたカードではない。2枚のカードをデックのトップに表向きに乗せると、一瞬で選ばれたカードに変化する。

タイトルを日本語にすれば「三度目の正直」と言うところでしょうか。説明で「カバーパス」と言っているように聞こえますが、あれはターンノーバーパスのように見えます。しかし別にパスなんて使わなくても、最初にダブルカットで2枚目にコントロールするか、3枚目にコントロールしておいて、2枚連続トップのカードを見せるのでも十分な気がしなくもありません。というか、そもそもこのトリックにおいてはパスは不適切でしょう。

だって、もしパスでコントロールしたのならば、観客からの見た目としては「選ばれたカードは真ん中にある」のですから、トップやボトムにあるはずがないではありませんか。これでは手順自体がナンセンスですし、「二度の間違いが正解を生む」というプロットが生きません。このトリックにおいては、パスよりも普通のコントロール技法の方が適切な気がします。

最後のチェンジ技法はなかなか大変ですが、上手に決まれば効果が高いでしょう。コロンビーニがやっていたように、デックを口元へ持って行って息を吹きかける、という動作の中でやるのもいいかも知れません。

7. Jumping gemini
現象/四枚のカードを使う。ハートの4を下に回しても、トップに上がって来る。ハートの4をテーブルにおいても、トップに戻って来る。四枚の同じカードを使っているかと思いきや、カードは四枚のスペードの10になってしまう。と思ったら、四枚のKになっている。四枚のKをデックに入れてカットするが、最後は四枚のKがポケットから現れる。

アマーの「Easy to master card miracles vol.6」にも収録されている、ダーウィン・オーティズのトリック。違いは、ラストにもう一段現象が追加されている事です(ちょっと「マジシャンvs.ギャンブラー」っぽい?)。

このトリックはそもそもかなり強力な現象が続けざまに起こるので、最後にポケットから出すなんてヘビーな現象を追加するのは蛇足にも思えるのですが、何せ原案では最後をフォールスカウントで見せねばならず、クリーンに終われません。この改案ですと、最後はクリーンに終われます。これは大きな違いです。

とは言え、クリーンに終われるようになった反面、原案より更にこってりしたトリックになってしまっているので、観客を疲れさせる恐れもある気がします。私がこういうのを演じる事はないと思いますが、原案だとどうにもラストが気になるという方は、試してみる価値のあるトリックだと思います。

9. Ambitious card
現象/デックの中程に入れたサインカードが、何度もトップに上がってくる。最後はカードケースの中からサインカードが現れる。

これは演技だけです。ダローの手順に近いところもあります。私はアンビシャスカードが好きではないので、ノーコメントで。

10. Bizzare double twist
現象/裏向きの2枚のカードの間に、もう1枚の裏向きカードを入れるが、振るだけで入れたカードが表になる。それを繰り返し、最後には真ん中のカードの裏色が変わる。

ここからはボーナストリックセクション。ポール・ハリスの「ビザーレツイスト」です。ウィルソンはテクニックはとても上手いのですが、テンポが早すぎてちょっとついて行きにくいところがあります。トリック自体は、さすがポール・ハリス。トリックとしては小品ながら、強烈なインパクトがあります。

11. Stop trick
現象/あらかじめ予言のカードを出しておく。カードを裏向きに配っていき、好きなところでストップをかけさせるが、ストップがかかったところから予言のカードのメイトカードが現れる。

説明だけだと、ヘンリー・クライストのトリックかとも思えますが、錯覚を利用したかなり大胆な方法を使っています。ですが、私は初見でも「あれ?」と思ってしまったので、ちょっと怖くてそのまま使いたいとは思いませんが、アイディア自体は取り入れてみたい気がします。

12. Double monte
現象/2枚の赤いAと黒いQを使う。テーブルにQを置き、手元に2枚のAを持つが、それがいつの間にか入れ替わる。

シンプルですが、意外と巧妙。ただ、スピーディにやらないと説得力がなさそうです(スピーディにやったらやったで、相手に現象が伝わりにくくて説得力がない気も)。解説でオルラムサトルティと言っていますが、あれはフラシュトレーションカウントなのでは……。


以上12作品(1つは解説のみ)。エンディングクレジットではNG集も見られます。ウィルソンほどの名人でもミスするんだと、ちょっと安心します(笑)。

ウィルソンの演技スタイルは、私の好みとは言い難いのですが、数多く解説されたダブルリフトは(その通り真似できるかどうかはともかく)、知識として知っておいた方がいいものばかりです。ダブルリフトは、基本技法ではありますが、全然簡単な技法ではありません(私は、安心して人前で見せられるまで、1年以上かかりました)。一度じっくり、ダブルリフトを振り返ってみるのもいいのではないでしょうか。 

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The essential Aldo Colombini vol.3

暑い日が続きます。私が住む札幌も、昨日は最高気温が33℃を超えました。職場には空調がないので、死ぬかと思いましたよ。皆様の地方はいかがでしょうか。

札幌は今週末には平年並みに戻るようなので、あと少しの辛抱です。こういう時は、部屋でのんびりマジックのDVDでも見るに限りますね。という訳で、久々のDVDレビュー。コロンビーニのシリーズです。私は、コロンビーニが大好きなのですよ。演者としてもクリエイターとしても、私の好みにぴったり来るというか。もっと長生きして欲しかった方です。

では行ってみましょう。このシリーズは全3巻、どれを見ても楽しめますが、この第3巻も期待を裏切りません。

The essential Aldo Colombini vol.3

1. Have a nice day
現象/1枚のカードを選ばせ、表にサインさせる。それをデックに戻してから4枚のカードを抜き出す。その中には選ばれたカードはない。うち1枚の裏面にスマイルマークのシールを貼るが、カードを数えるたびにスマイルマークのカードが増えていき、最後には全部スマイルマークのカードになる。再び数えるとスマイルマークのカードが減っていき、1枚になる。その1枚が、選ばれたカードである。

説明はちょっとややこしいですが、ちょっと不条理で非常に楽しいマジックです。シールを使わない方法が、「Baroque compositions」で、「Capriccio」として解説されています。技術的にもさほど難しくないですし、これは絶対一般受けするでしょうから、覚えておきたい手順だと思います。スマイルマークが増えていくところは、何か合ったストーリーでも考えて演じれば楽しいでしょうね。

2. Four red card trick
現象/4枚のジャンボカードを使う。表はどれもダイヤのQである。「とても有名な、4枚の赤いカードのマジックをやります」というが、なぜか1枚が黒い数字のカードになっている。そのカードを取り除き、「3枚でもできます」というが、またも1枚が黒い数字のカードになっている。そのカードを取り除き「2枚でも大丈夫」と言うが、また1枚が黒くなる。その1枚を取り除くが、最後の1枚も黒いカードになってしまい、全部黒いカードになる。「仕方ないので、4枚の黒いカードでマジックをやります」と言うと、1枚だけ赤い絵札になっている。

いわゆるホーミングカード。フレッド・カップスの演技で有名ですね。ジャンボカードで演じられるだけあって、技術的にそう難しくはありませんが、当然ながらそれなりの演技力は必須です。こういう手順はサロンでも重宝するでしょうし、やたらにテクニカルなものばかりを演じるより、こういうトリックを上手に演じられるようになりたいものです。

もちろん、レギュラーデックでも演じられる手順ですが、こういう作品は是非ジャンボカードで演じてみたいですね。ただ、ジャンボカードのダイヤのQを3枚揃えるのは、レギュラー以上に大変そうですが……。このトリックは、オチが面白く、やってみたくなる魅力があります。

3. Barefoot in the park
現象/デックから適当なパケットを取り出し、それをポーカーハンドを配るように5枚ずつの2つのパイルに配り、1つのパイルのトップカードを相手に覚えさせる。それを3人に対して行った後、無関係な観客にパケットを渡し、その中から3枚のカードを抜き出してもらう。それが3枚の選ばれたカードである。

風変わりな「カード当てさせマジック」。選ばせる時の手順がちょっと数理トリック風味ですが、第三者が3枚もカードを当てるというのは、かなりインパクトがあります。原理は単純で、要は当てる役の観客を即席のサクラにしてしまうというものですが、こういうやり方があるんだなと勉強になります。

4. Mini-Maxi
現象/ジャンボカードとミニカードの箱を取り出し、これは予言だと言う。レギュラーデックから2枚のカードを選んでもらう。ジャンボカードとミニカードの箱の予言と選ばれた2枚のカードが一致している。

現象説明は味気ないですが、演技はとても面白いです。これも、原理は他愛のないものですが、こういうトリックは、やはり見せ方ですね。ジャンボカードの予言の見せ方は、思わず笑ってしまいました。何より、大きさの違う3つのデックの箱が並んでいるだけで、絵として面白いです(笑)。

5. Get the ball rolling
現象/1つのボールが移動や消失、増加を繰り返し、3つのボールになる。最後には大きなボールになる。

立って演じられる、スタンダードな3ボールトリック。ポップアップムーブを上手く使っています。コロンビーニはリング&ロープのようなトリックも上手いですが、ボールを扱わせても綺麗なものです。ボール自体には仕掛けはないですし、立って演じられるので、こういうのを1つ覚えておけば重宝しそうです。コロンビーニ自身も、音楽をかけながら優雅に演じています。

ポップアップムーブは、「基礎から始めるコインマジック」の中で、二川滋夫さんがコイン技法としても解説されています。見た目独特な技法なので乱発するものでもないとは思うのですが、ジェニングスもコイン技法として使っていました。覚えていて損はありません。

6. Rubber illusion
現象/2枚の赤いカードの間にQを挟む。その状態でQを引っ張ると、Qが伸びてしまう。元に戻ったかと思った途端、今度はQが小さくなる。

売りネタの「伸びるクイーン」ではないのですが、仕掛けを必要とします。Qが伸びたところで、押せば伸びたまま動くので、説得力もあります。何より最後の小さくなるところは目を疑います。伸びるQの仕掛けと小さくなるカードの仕掛けが上手く融合していて、細かな部分のハンドリングもとてもよく考えられており、ミニデックが手に入るなら是非演じてみたいですね。

7. Packed bags
現象/相手によくカードをシャッフルさせ、1枚のカードを選ばせ、それを1組のデックの中にひっくり返しておく。もう一組のデックを取り出し、リボンスプレッドすると、1枚のカードが表向きになっているが、それは選ばれたカードではない。それを裏返すと「あなたはこのカードを選ばない」と書いてある。残りのカードを表向きにスプレッドすると、全てが選ばれたカードである。

二段構えのギャグが面白い予言トリックです。これくらい笑いを取れる予言トリックも、レパートリーに入れておきたいものです。要はフォースしているだけなのですが、やはりマジックは演出だなあと思わされました。コロンビーニのプロならではのタッチを感じられるトリックです。

最初のフォースは、少し手続きが複雑な気がしなくもありませんが、なかなか巧妙で、覚えておく価値のある技法だと思います。気になる人は、もっとシンプルなフォースに置き換えても十分トリックは成立するでしょう。

8. Throw in the sponge
現象/コロンビーニ流のスポンジボールルーティーン。

なぜかスポンジが半分になったり、これも演出が面白いスポンジボールルーティーンです。こちらでもポップアップムーブを使っています。その他の手順はスタンダードなものです。ただし、半分のスポンジボールがハーフダラーになるところは、日本では通じにくいとは思いますが……。

9. That's amore
現象/4枚のKを抜き出し、相手に1枚を指ささせる。演者が選んだQと選ばれたマークが一致する。それを4回繰り返し、全部のKとQが一致し、4つのKとQのパイルができる。4つのパケットを裏返すと、「LOVE」の文字が書いてある。

これも、取り立てて新しいトリックではなく、見せ方がすべてのようなマジック。これだけの現象を実現するために、意外と面倒な準備とギミックが必要です。その上凄く不思議かと言われると、そうでもない気がします。

しかしマジックって不思議さも大事ですが、ちゃんと起承転結がついた「展開のバランス」というものも大事なんだなと、プロの演技をみていると思わされます。マジシャンは「演出家」でもありますから、こういうストーリーテリングの能力というと大げさですが、そういう感覚は重要ですね。

ギミックのお陰で、見せ方は非常にクリーンです。こういうトリックは、演者のキャラクターを選びそうではありますが、裏に書いてあるメッセージを変えれば、トリネタにもなりそうです。「おしまい」とか(笑)。

10. Another's bet
現象/テーブルを使わない、ワンダラーとチャイニーズコインを使ったコインズアクロス。最後はチャイニーズコインが大きくなる。

シンプルなコインズアクロス。「ミリケンズトランスポジション」のように、2枚のコインの性質を上手く生かした手順で、テーブルを使わないので移動の様子もビジュアルです(ちょっと「3 fly」風?)。

コインの種類は選ぶでしょうが、日本円ならば500円玉と10円玉ではどうでしょうか。そうすると最後にジャンボコインにできなくなりますが……。ジャンボ500円玉ならありますから、500円の方を大きくする手順を考えてみるのも面白そうです。手軽に演じられる手順ですから、一部の手順だけでも取り入れてみてもいいでしょう。

11. Perpetual calender
現象/手帳のカレンダーに、日付毎に違うカードの名前が書かれている。相手に日付を決めてもらった後、その日付に書かれているカードの名前が予言してある。

カレンダーを使ったトリックって、時々見ますよね(エルムズレイの作品にもこういうのがあった記憶)。道具立ては面白いのですが、最初の日付の選ばせ方がかなり手間がかかるので、よっぽど上手く演じないと難しい気がします。逆に、演出次第ではかなりパワフルなトリックにもなり得るかも知れません。

12. Ulti-mate-M
現象/1人の観客に予言の封筒を渡しておく。デックを取り出すが、それはジャンボカードを4分割したカードである。3人の観客に1枚ずつカードを選ばせて、デックをリボンスプレッドすると、1枚のカードが表向きになっている。その4枚を開くと、3枚目までは同じカードだが、4枚めだけが違うカードである。失敗したかと思いきや……。

これも予言トリックですが、予想外のオチが笑いを誘います。もちろん特殊なカードを使うため、簡単には実演できませんが、自作するという手もあります(が、こういう特殊カードに加工の跡があると、ちょっと興ざめのような)。

フォースの方法は、言ってみれば「エメラルドアイルエーセズ」そのものなのですが、見せ方を工夫する事で、手垢のついたトリックが、ここまで印象の違う現象のマジックになるのかと驚かされました。コロンビーニタッチを存分に味わえる作品です。

13. Heart to heart
現象/ハートの2のカードにおまじないをかけると、ハートの形のスポンジが2つ出てくる。それを使ったスポンジボールルーティーン。

カードマジックかと思いきやスポンジボールという意表をついた構成。スポンジのパートも普通なのですが、形が変わっただけで新鮮に感じます。ハート型スポンジを使う事で、演出も一味違います。ごくごく当たり前の手順のトリックでも、これまた見せ方で印象が変わるのですね。


以上13作品。どれも、道具の面白さ、演出の一工夫で、とても楽しいマジックになっています。ともすればアマチュアのマニアは、「とにかく新しいトリックを」「ビジュアルでインパクトのあるものを」と考えがちですが、人に見せる時は、そんな事より大事な事がたくさんあることを、コロンビーニは教えてくれます。

特に、予言トリックでの工夫や見せ方は面白く、こういうのがプロの工夫なんだなあと思わされました。何よりこのシリーズは、見ていても面白いです(鑑賞して楽しいマジックレクチャーDVDって、あまりないですから)。特別な道具が必要な作品が多いので、レパートリーを増やしたい人には向きませんが、見て楽しい珠玉のトリックばかり。是非見てみてください。 

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