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カードマジック入門事典から十作選ぶ

先日、「好きなカードマジックベスト候補の十作」という記事を書きました。ベスト候補の十作だと、どうしてもクラシック名作に偏ってしまうので、今度はカードマジック入門事典から、お気に入りの作品を十作選ぶという記事を書いてみます。

先に事典を書こうかとも思ったんですが、やはり入門事典の方が先ですよね。そのうち、事典から十作選ぶというのもやってみるつもりです。ではいってみましょう。前回の記事と、同じトリックが重ならないように選んでみます。

1. 弾丸カード The bullet trick (Krenzel / Kane) p86
ファローシャッフルを用いた、動きのあるカード当てです。著者の高木重朗さんは、これ一つでこの本の値段に匹敵する、と書かれています。リフルピークを使ってカードを選ばせるのに抵抗があれば、アマーの「Card miracles」には、コントロールを使う方法が解説されています。

一般の人にマジックを見せる場合は、百種類のマジックを覚えるより、相手が覚えたカードを現す方法を百種類覚えた方がいいです(そんなに覚える人もいませんが)。相手のカードの現し方を変えると、それだけで違ったマジックにうつりますからね。その意味で、これは是非覚えておきたいトリックの一つです。

2. 五分の一 Will it (Jimmy Grippo) p108
カード当てにも色々ありますが、これは「相手が途中で選んだカードを変えてもいい」という点が、よく考えられています。要するに全部のカードを適切な位置にコントロールしておくだけなのですが、きちんと演じられれば非常に大きなインパクトを与えられるはずです。即席カード奇術の、地味な傑作だと思います。

3. アップサイドダウンデック The upside down deck (Francis Carlyle) p112
ダブルリバースと呼ばれるタイプのトリックです。発表は1950年ですが、手順も演出も卓抜しており、なおかつ技術的にも容易で、現象もインパクトがあります。私は、トライアンフよりこちらの方が好きですね。入門事典には、このような渋い傑作が多数収録されています。多分私も、見落としている作品があるので、時々読み返すのがまた楽しいのです。

4. 奇跡のカード当て Miracle card finder trick (John Scarne) p134
私は、「相手がカードを当てる」という演出のトリックが好きで、よく演じます。これは、ダウンアンダーを用いるのですが、「選んだカードを見つけるための手順」と位置付ける事で、十分に演じられます。また、演者が一枚のカードを決める部分も、手順演出共に巧妙です。「覚えたカードが出るかどうか確認します」という理由づけが上手いですね。

5. オーバーキル Overkill (Ackerman / Marlo) p144
有名なトリックですが、演じる人があまりいないような気がします。準備は多少必要ですが、それを補って余りある効果があると思うのですが。一般の人に演じるには、大変効果的なトリックです。一種の予言トリックですが、こういうトリックは、余り勿体をつけずに、畳み掛けるように予言を示す方がいいと思います。

6. 名刺の予言 Business card prophesy (Bill Simon) p159
プロフェシームーブ、またはプロフェシーフォースと呼ばれる技法を使った予言トリックです。類似のトリックは多数ありますが、このトリックは、名刺を使ったのが素晴らしい点です。プロフェシームーブの「ひっくり返して確認する」という動作にも理由づけができますし、その時予言がよく見えないため、動作の真の目的は完璧に隠蔽されているのが見事です。プロマジシャンならば、自然に名刺を交換する事ができるでしょう。

ただし、私は仕事柄名刺を持っていませんので、今の私にとっては実用的なトリックではないのですが。まさか他人の名刺を使う訳にも行きませんし……。

7. フリップフロップフループ Flip flop floop (Al Leech) p214
お手軽ながら、瞬間的に強い印象を与えられる変化トリックです。原案ではキーカードをトップカードとしていますが、私はボトムカードをキーにしています。その方がグリンプスしやすい上に、相手のカードを返してもらう時も、「トップに返してもらってからオーバーハンドシャッフル」ではなく、「オーバーハンドシャッフルしつつ、ストップがかかった場所に返してもらう」にする事ができ、自然だと思うからです(当然、その後カードを示す時の手順が少し変わります)。

こういう、複数の現象が合わさっているトリックは、示し方に気をつけないといけません。変化した場合も、何故変化したのか、その意味合いを示さないと、相手が混乱するでしょう。何にせよ、シンプルで面白いトリックです。

8. インスタントリヴァース The instant reverse (Bill Simon) p222
選んだカードのフォアオブアカインドが揃うトリックです。原案では、多数枚のセットと、ブラウエリバースという技法を使うのですが、ゆうきともさんが、カットディーパーフォースを使う事で、その二つの問題を解消している作品を公開されています。

カットディーパーフォースは、フォースとしては少々不自然な手法ですが、前半部でカットディーパーフォースをしたからこそ、後半部のブラウエリバースが省略できている事で、フォースの不自然さというデメリットを補って余りある改案です。「ワイズワークスEX」に解説されていますので、興味がおありの方はご覧ください。

9. プレフィギュレーション Prefiguration (Jennings / Ogden) p236
相手の目の前で堂々とセットを行なって、フォアオブアカインドを出すという、とても図々しいトリック。こういう厚かましいトリックが大好きなのですよ(笑)。その図々しさにも関わらず、とても強い印象を与える事のできるトリックですので、是非一度お試しください。

10. 色の一致 Coincidence in color (Roy Walton) p250
私が大好きな一致トリックです。現象としては地味ではありますが、上手く演じられれば後々まで残る、強いインパクトを与えられます。言ってみれば一種のフォースですので(これをフォースと呼べるかどうかは謎ですが)、色々見せ方も工夫できると思います。

以上十作品。選ぶのは結構苦労しました。他にも「オーラムズオープンプレディクション」「王様の絨毯」「ホッチキスでとめたカード」などは、捨てがたかったのですが。

改めて入門事典を見てみて、この本は入門事典というタイトルを超越した本だなあと思わされました。消費税込みでも三千円ちょっとの本ですが、同じ価格で変なDVDを買うくらいなら、この本を買いましょう。DVDの何十倍もの価値があると思います。  

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コメント

入門事典も名著ですよね!
興味深く読ませて頂きました。
読み飛ばしていた作品もいくつかあり、
とても参考になりました。
2018/ 01/ 27( 土) 17: 26: 26| URL| ケンジ# -[ 編集 ]
 
入門事典は、時折読み返すと、思わぬ発見があったりしますよね。私もこの度十作挙げてはみましたが、多分まだ見落としている傑作があると思います(むしろ、入門事典には傑作しかない、と言っても過言ではないですね)。

ケンジさんのブログも楽しんで読ませていただいています。また宜しくお願いします。
2018/ 01/ 27( 土) 21: 41: 19| URL| # -[ 編集 ]
 
 この本は持っているのですが、内容が豊富すぎてポイントを絞れませんでした。おかげさまで、効果的な10種を選択することができました。
 
 この内の2つでも身につけることができれば素晴らしいと思っております。

 マジックDVDは膨大な数をもっておりますが、英語(海外で入手したため)ばかりで良く理解できておりません。お見受けするところ大変英語がご堪能のようで羨ましいです。

 これからもよろしく。
2019/ 03/ 24( 日) 21: 32: 46| URL| 金沙の風# -[ 編集 ]
 
コメントありがとうございます。

入門事典は、私の好みで10作品選んだだけでして、他にもいい作品はたくさんありますので、色々試してみてください。あの本に駄作は入っていません。

英語は全然堪能ではありませんよ(笑)。いつも、なんとなくで理解しているだけです。

またお気軽にコメントをお寄せください。
2019/ 03/ 25( 月) 18: 15: 20| URL| # -[ 編集 ]
 

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